友達って思っていいんですか?

ブランドのロゴがプリントされてある靴下を黒色の小さな紙袋に入れる。


1回2回と織り込んで畳み込み、紙袋が開かないように留め具に赤い蠟を垂らし

スイートピーの紋章が刻まれたスタンプを丁寧に蠟の上から押していく。


少し待ってからスタンプをゆっくりと離し、形が崩れていないか確認。


よし。完ぺき!


スイートピーの封蠟を指でなでながら今日一日を振り返る。


途端に無意識に足がばたばたと動いてしまう。


危うく勉強机に足先をぶつけてしまう所だった。


頭では分かっているのだ。


ただの靴下なのに、いや極端な話ただの布なのにと。


でも、足から全身になんとも言えないモゾモゾ感というか。


どこか後ろめたいような、どこかうれしいような感覚が駆け巡る。


それが靴下を履いている状態でずっと続くものだから今日一日だけで神経をすり減らした。


それにそれに移動の時とか中履きを脱いだりする際に誰かに見られるんじゃないかって一人で不安になったり。


まさか麗奈さんと私の靴下がお揃いなんて誰も気づかないし気にしないだろうけど。

今日の私、絶対挙動不審だったよな。


ふーっと腕を枕にしながらぐりぐりと額をこすりつける。


明日どうやって麗奈さんに渡そうかな。


下駄箱に入れとくのは借りといて失礼だし、朝麗奈さん部活あるから気付くのが放課後になってしまう。


じゃあ、教室の机の中とかにこっそりと?


それも同じくダメ。


借りといて無言で返すなんて人としてもダメだ。


なら直接麗奈さんに渡す??


頭をガシガシとかきむしる。


そんな難易度の高い事できるわけないよ。


先週までずっと一人で本読んで過ごしていいた奴が、運動会で活躍したからって

クラスの人気者に馴れ馴れしく話かけるなんて白い目で見られる。


それにキョドらないはずがないじゃないか。


その姿を麗奈さんに見られるなんて。


想像するだけで共感性羞恥によって体が震えちゃう。


どうしようかな。


紙袋を手に取り天井へと掲げる。


まあ、なるようになるか。


すでに準備を終えたリュックサックにつぶれないように収納し、お風呂を浴びる為に席を立つ。


今日は入念に髪を洗わなきゃ。



=====================================


教室の自席でリュックサックのファスナーを閉めたり開けたりを無意味にくり返しながら友人と談笑している麗奈さんを観察していた。


渡すタイミングが無い。


どのタイミングで渡せばいいの?


産まれてこのかた、人に何かを借りるなんて機会がなかった私にはどのように返すの

がいいのかまったくわからない。


もし変なタイミングで渡してしまって空気の読めないきもい奴って思われたら

ショックで不登校になるかも....


それにもし麗奈さん以外に見られたら調子乗ってると思われれるかもしれないし。


ダメだダメだ!


イヤな考えが次から次に量産される頭をブルブルとふり冷静さを取り戻す。


でも、冷静になっても麗奈さんに返せてないから結局イヤな事を考えてしまう

負のスパイラルに突入してしまう。


頭の中は混沌の極みに達してしった。


そんな混沌の中で麗奈さんの笑い声が頭の中に直撃する。


麗奈さんの笑い声は目立つ。


笑い方が面白いのだ。


例えるなら、セイウチのような笑い声。


変ってわけじゃぜんぜんなく、どちらかと言うと一緒にいて安心できる笑い方に感じる。


なにもかもさらけ出してますよってあらわしているみたいで。


麗奈さんは沢山の友達に囲まれながらお腹を抱えて笑っている。


もし、その笑いの中に自分がいたらなぁ~なんて思う。


きっと楽しいだろうな。


安心できて、面白くて、信頼できるそんな人と過ごせたらいいだろうな。


でも、自分と麗奈さんは違う。


私にとってそのような感情は贅沢品なのだ。


それに失う悲しみを私は痛いほど知っている。


別れが私の考えを固執してしまっているのはわかる。


人と付き合わなければ、自分が傷つかずに済む。


それは間違いではないし、実際効果を発揮している。


でも、心の中のもっと深い下部にはある。


自分自身で必死に強がって、屁理屈へりくつばっか作って思考しているけど。


誰かと特別になりたい。


その思いをいつまで殺し続けるのか。


まあでも今更、仲良くなろうなんてのもおかしなものだし。


うん。今まで通りにしよう。


それに、麗奈さんは優しいから靴下を貸してくれただけだし、

私と麗奈さんをつなぐものなんてない。


コミュ力がゼロに近い私が麗奈さんの一言で勘違いしてしまったのだ。


友達になりたいという感情をを恋愛の好きだと。


うんうん。


きっとそうだ。


だから無言で下駄箱に置いておいても失礼じゃないし、距離感としては間違っていない。


今後、麗奈さんと関わることなんてないんだから。


こ、これは戦略的撤退であってキョドっているからではない。


揺れる横顔を見ながら意思を固めた自分。


ただ、メモは置いておこう。


感謝をしないのはさすがに違う。


それを文面に残して伝えることはしっかりと行おう。


適当にノートを机の中から取り出し、一枚切り取る。


当たり障りのない言葉を書き込む。


書き込んだものを綺麗に折りたたみスカートのポケットに滑り込ませる。


良し、準備は整った。


靴下と手紙を下駄箱に置いたら麗奈さんと自分の共通点はなくなる。


少し悲しいけど、靴下を借りたのはイレギュラーだっただけだ。


それに、麗奈さんから「かっこいい」って言ってもらったじゃないか。


それを心の中に大切に保存しておけばいい。


ただ、今ぐらいは横顔を眺めていてもいいだろう。


笑うたびに揺れるポニーテール。


白い雪のようなうなじ。


半袖シャツから延びる少し日に焼けた腕。


長めのスカートから筋肉質で引き締まった綺麗な足とお気に入りのブランドのロゴが入った靴下。


それにおどけて八重歯が特徴的なかわいらしい笑顔と優しい瞳。


こうやって改めて顔を見ると整った顔をしている。


きょとんと首をかしげているのも可愛いな。


それになんか手をこちらに向けて振っている.......


んんんんん!?


咄嗟とっさの事に目をそらす。


顔全体が真っ赤になっていくのが感覚でわかる。


嘘でしょ!


まさか今、目合ってた??


それ自体がまずいのに、意味もなくガン見していた私って絶対きもいって思われた!


顔を両手で覆った。


今世紀最大の黒歴史だぁ。


これは終わった。


私は机の中に手を突っ込み無造作に本を取り出す。


全くと言っていいほど内容がわからない。


読んでも読んでも、文章ではなく文字でしか認識できない。


本を読んでいる振りなら得意なのにぎこちなくなってしまう。


それになんか麗奈さんの方から鋭い視線を感じるし、どうなっちゃうの私。


=====================================


3週間後におこなわれる職場体験のアンケート用紙と説明書が配布された。


分厚い説明書に掲載されている体験できる職場は結構豪華だと思う。


私立ってこともあるけど、中学校の立地も結構いい。


それに保護者の方にも企業の常務や経営者の方も多いことから貴重な経験をさせてあげたいという親心でわざわざ学校にオファーする人もいるぐらいだ。


ペラペラとなんとなく目を通していく。


私の目標としてはあまりみんなが行かなそうな場所。


なぜなら一人でいられるから。


先生からの注意事項とアンケートの提出期限を告げ、ホームルームの終わりのチャイムが鳴り響き生徒たちは各々が立ち上がりそれぞれの行動を開始した。


私はアンケート用紙と説明書をクリアファイルに入れリュックサックに収める。


そのまま背中に背負い教室を後にする。


廊下にはそれぞれの目的を持った人の群れが右往左往していた。


私はそのあいだあいだをすり抜けていき、下駄箱に足を急がせる。


クラスの誰よりも早く下駄箱に行かなければ、私が麗奈さんの下駄箱に物を入れるところを見られてしまう。


誰よりも早く向かっていたと思っていたのに。


「よ、はな花。元気?」


下駄箱に背中をもたれさせた麗奈さんがそこにいた。


私はちょっとした後ろめたさと、目の前にいる麗奈さんを意識して心臓がバクバクと鼓動する。


「元気ですけど...どうしたんですか?」


「あれれぇ~!はな花、なんか忘れてない?」


そこで麗奈さんは私の顔をのぞき込みいたずらっ子のような笑みを浮かべる。


う…これは薄情して渡すしかない。


私はリュックサックから、赤い紙袋を取り出し麗奈さんに見せる。


「あの、先日はありがとうございました。とても助かりました。」


ペコリと頭を下げて麗奈さんに渡す。


麗奈さんは紙袋を繁々と眺め頬を綻ばせる。


「この封蠟ふうろう、可愛いね」


「本当ですか。よかったです気に入ってもらえて」


「うん。とっても気に入った。凝ってるの?」


「はい。子供の時から割と好きで」


「そうなんだ。好きになったきっかけとかあるの?」


うーんと頭の中で考える。


あったかなきっかけ。


子供の時から親が使っているのを見ていて、自然と使っていたから特にこれといった

きっかけはない。


ただ、きっかけではないけど一つ思い当たる節はある。


「思いを乗せることができるから好きなんだと思います。

蠟に火をつけてゆっくり溶かしていき、その蠟の上から慎重にスタンプを押していく

この時間が相手を思う時間なんじゃないかと思うんです。シールとかテープだと

なんとなくノ作業になってしまうけど、封蠟はひと手間必要になる。

その時間が好きなんだと思います。

あまりまとまっていないのですがこんな感じです。」


早口でまくしたてちゃった。


麗奈さんにきっと変な子だと思われた。


恐る恐る麗奈さんの顔を窺うと、にこやかな笑顔を向け、かわいらしい八重歯を見せている。


「めっちゃいいなそれ」


「そうですかね」


麗奈さんはうんうんと頷いて、私の右手をきゅっと握手してきた!


細くて柔らかい。それにひんやりとしていて触っていて気持ちい。


じゃなくて私の手、絶対手汗ひどい。


どうしよう。


不潔な女って思われたかも。


だけど麗奈さんは微塵みじんも気にした様子がない。


それどころか、紙袋を脇に挟んで両手で包み込んできた。


う・・ううぅ~ん  ひんやりして気持ちいい。


「はな花さあ、敬語なんてやめてよ。自分達もう友達っしょ!」


「でも...」


躊躇する私を後押しするように強い声で


「でもじゃないの。


お揃いの靴下履いた仲でしょ?


しかも、meの靴下を」


その顔はずるい。


そんな瞳で見つめられたら無下にできないよ。


「わかったよ麗奈さん」


「麗奈でいいよ」


う、、人間関係の薄い私にはハードルが高い。


「れ、麗奈」


「おう」


麗奈さんは満足そうに頷き、私から手を離し歩き出した。


すれ違いざまに横顔をみるとなんだかうれしそうだ。


麗奈さんの足音が次第に遠ざかっていき、喧騒が耳元に戻ってきた。


まるで麗奈さんとの時間が幻想だったかのように。


でも心臓の鼓動が現実であることを教えてくれる。


じんわりと頬が温かくなっているのがわかる。


表情もどこか緩んでしまう。


私は上履きを脱ぎ下駄箱の靴と交換する。


かかとを踏まないように気をつけながら足を通す。


すると喧騒の中からこちらに向かって走ってくる足音が聞こえてきた。


興味本位で音のする方に向くと、麗奈さんがスカートを翻しながらスライディングしてきた。


肩を上下にしながらこちらの姿を確認して安堵の表情を浮かべた。


「麗奈サ..どうしたの?」


麗奈さんは息を整えながら右手を挙げる。


「また、明日! 学校で!」


「あ、うん。また明日」


麗奈はにこりと笑って「じゃあねぇ~」といってきた道を足早に戻っていった。


私はその姿を見送り、今しがた言われた言葉を反芻した。


「また、明日」「また、明日」「また、明日」「また、明日」


胸に手を当てて、今のが現実である事を改めて認識する。


また明日って事はこれからも麗奈さんと話してもいいのかな。


胸の奥底が温かいもので満たされる。


今にもスキップしそうになるのを抑えながら帰路についた。



=================================



ベッドに寝ころび天井を凝視する。


昔は木目調が顔に見えて怖かったけど今はすっかり慣れた。


あの時の家に今誰が住んでいるのか。


想いを馳せても意味なんてないけどね。


もう過ぎ去ったことに私は振り返らないって決めているから。


それに今はそれどころではない。


麗奈さんとのやりとりがただでさえ小さい私の頭の容量を圧迫していた。


「はあ」と意味もなく溜息が出ていく。


手、ひんやりすべすべしていたなあ。


それに手を包まれた時は心臓が飛び跳ねたし。


あの手で、手以外を触られたら......


両手で頭を抱える。


ダメだ。だめだめ!


私が麗奈さんを好きなのは問題なのだ。


麗奈さんからしたって、友達そう思っていいよね?だと思っていた相手が突然性的に好きなんて言われたらショックだと思う。


それに麗奈さんは普通の女の子。


女の子は男の子が好き。


だから私が麗奈さんを性的に見るのはダメ!!


私と麗奈さんは友達‼


よしっと硬く目をつぶる。







寝れない......



恐る恐る時計を見ると、午前3時40分を示している。


ベッドの天井を凝視しながら昔住んでいた家に想いを馳せ始めた。



=================================


人生初の寝坊をしてしまった。


最後に時計を見たときは午前5時24分。


今の時間は午後12時40分。


お母さんもお母さんだ。


起きてないと気付いたのなら起こしてくれればいいのに。


お母さんの置手紙を思い出しながら下駄箱の中履きと外履きを交換する。


できるだけ目立たないように過ごしていたのに、重役出勤をかましてしまうなんて目立ちすぎる。


それに今給食の時間だから、教室にそのまま行けない。


この時間に生徒が入れる場所は図書室とかかな。


そうと決まれば、行くべき場所は図書室。


私はできるだけ足を忍ばせながら図書室へと向かった。


図書室に入ると、木のような紙のようなこもった匂いが鼻孔をくすぐる。


この匂い落ち着くなぁ。


いつどんな場所でも似たような匂い。


ここにいるときだけは、寂しさは不思議となくなる。


たぶん、思い出がここで止まっているからかな。


ふふっと自嘲気味に笑う。


本棚に近づいて背表紙に指先で触れる。


本棚と並行して歩き指先を背表紙に流していく。


カタカタと不規則な音が図書室に響いた。


飽き始めた頃に、ちょうど手に触れていた本を手に取り、

窓側の席に座る。


数学についての歴史の本だったらしく、なかなかに難解だ。


私は超がつくほどの文系だから、まったくわからない。


分かりやすく書いてくれているのだろうけど、

公式とか数式が出てくると途端に頭の関所を閉じる。


文字の波を流し見しながらページを撫でていく。


ページを無心でめくる。


どれくらい時間がたっただろう。


校庭から騒がしい声が響いている。


昼休みが終わると同時に向かえば目立たない。


もうしばらく居ることにしよう。


「やっぱりここにいた」


唐突に入り口から透き通った声がした。


声のしたほうに目を向けると、ドアに肩を寄りかからせながらこちらを面白そうに眺めている麗奈さんが居た。


「授業サボって図書室に籠るなんて、さすがだね」


「違うよ。寝坊ね!寝坊!」


「本当かな?」


麗奈さんはくすすと口をおさえながら笑う。


そしてステップを踏む様に私の所に近づいてきて、床に蹲踞そんきょのような姿勢で棚によりかかる。


ふわっと柑橘系の匂いがやさしく漂ってきてきゅっと胸が縮む。


ちらっと見える膝小僧に目が吸い寄せられる。


もし今、麗奈さんの目の前にいけば確実に中....


ダメだダメだ! 邪すぎる!


私は必死に煩悩を追い払う。


「麗奈さんはどうしてここに?」


煩悩を追い払うべく、話題をふる。


「はな花が図書室の方向に進んでいくの見えたから来てみた」


「そ、そうなんだ」


「うん。そう。」


これってどういうことですか!?


私だけのために来てくれたってことでいいのかな。


じんわりとした高揚感が胸を駆け巡る。


浮かれるな自分!!


麗奈さんの横顔を見ろ!


きれいな整った輪郭に、きれいな薄ピンクをした唇。


きめの細かい陶器のような肌。


ほんのりと染まった頬。


目は一重でやさしい印象を与えている。


別段特別な意味なんてない、いつも通りの表情だ。


「で、寝坊はどうして?」


麗奈さんはきょとんとこちらに首をかしげながらポニーテールを揺らす。


咄嗟のことで、頭が回らなかった私は


「その、楽しみだったから」


「ん?何が?」


「その、麗奈さんと話せるかもって思ったら」


自分が何を言っているかを理解し始めると急速に血液が顔に集まってくるのがわかる。


麗奈さんはぶふっと吹き出し、セイウチのように笑いだした。


「あっはっはっはぁ~!

そっかそっか楽しみだったかぁ~!」


「もう!笑わないでください!」


「いや、顔まっかっかにして言われても余計...くふふふふ」


麗奈さんはお腹を抱えながら、目の淵が光っている。


私は自分の顔をとにかく仰ぐ。


一秒でも早く顔の熱を下げるためにも。


一通り笑い終えた麗奈さんは目を擦りながら


「でも、そっかそっか楽しみだったのかぁ~」


「うゥ~やめてよ。恥ずかしい」


顔を手で覆う。


「私も楽しみだったよ。はな花と話せるかもって思っていたからさ。」


ちらと手の隙間から麗奈さんを見やると照れ臭そうに頬をかいている。



でもっと麗奈さんは私の顔にあった手を掴み、顔から手を遠ざけた。


私の目をまっすぐに見据えた麗奈さんはどこかいたずら小僧のような表情を浮かべながら


「当の本人は寝坊してたんだけどね。」


「ご、ごめんなさい。」


私は頭を下げるしかなかった。


それと同時に授業の予鈴がなり教室へと一緒に向かった。


麗奈さんは次の授業サボってもっとお互いの事を知るために親睦を深めようと言われたが丁重にお断りした。


目立ちすぎるし、麗奈さんとこれ以上一緒にいることは心臓に悪いからだ。








【明日香は心配】


バスケットボールをバウンドさせながら麗奈の様子を伺う。


運動会から少しおかしい。


この前の朝練もそうだし、放課後の練習も遅れたし。


今までにそんなことなかった。


どうしたのだろう。


頭に浮かぶ麗奈の異変。


シュートを放つ、けど入らない。


ちらと麗奈を見る。


麗奈も麗奈で雑念があるのだろう。


ドリブルもシュートも粗が多すぎる。


いつもの麗奈はそんなことないのに。



【里奈は面白い】


はな花さんってあんな嬉しそうな表情するんだ。


初めて見た。


それにはな花さんの顔を見ることも多くなった。


なんでかなって思ったけど、はな花さんがこちらをずっと見ているから。


でも正確には麗奈を見ている。


ずっとずっっっと。


麗奈が笑ったり楽しそうにしている所をうっとりとした表情で眺めている。


あの表情はどういう意味なのかな。


友達になりたいのかな?


でも麗奈とはな花さんはすでに友達に近い存在だと推察する。


アイコンタクトしてたしね。


じゃあなんだろう。


麗奈が男の子だったら恋する乙女の瞳だけどなぁ~


いやまてよ。


私は考えてみる。


無いことはないのか。


ゴクリと唾を飲み込む。


楽しみになってきたな。


私はウキウキと心が躍った。




























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