この家多分事故物件だと思うんだけど……。
常闇の霊夜
八割がた事故物件
「ここが最新の物件ですね」
俺の名前は『ヤタラ』。今は入居出来る物件を探している。
このオッサンと共に物件を見て来たのだが、遂にラストの物件になってしまった。
金が高かったり駅から遠すぎたりと色々あったがここはどうか……。
「では入る前に塩を舐めてください」
「なんで?」
「決まりですので……」
え?塩を?舐める……?いやまぁ良いけどさ……。
清めの塩じゃないコレ?
「では内見しましょうか」
「あ、あぁ……」
まず玄関……うわぁっ!?
「何!?この……お札!?」
「あぁ気にしないでください。それと入り口はこちらですよ」
えっコレ入り口じゃ無いの!?あっ裏口が入り口……じゃさっきのは何なの?!
誰用の何!?
「どうぞ入ってください」
「あ、あぁ……」
中は案外綺麗なもんだなぁ……。一応売り物だろうし綺麗にするのは当然だろうけども……。
さてとりあえずリビングにでも行くかな……。
「あっ待ってください、先ずは風呂場です」
「え?」
「風呂場からじゃないと不味いんです」
……。えぇ……。
「ここが風呂場です」
「なんか風呂炊けてない?」
「気のせいです」
「しかも真っ赤じゃない?」
「気のせいです」
「なんならさっきから声が聞こえない?」
あっ遂に無視しやがって……。なんなんだよここ。まさか事故物件!?
「ここがリビングです」
「ソファが三つくらいあるんだけど」
「赤いのと青いのには座ってはいけません」
「まだあるのか……」
よく見りゃなんかいるようないないような……気のせいだろうきっと。
「ではこちらに」
「え?あぁ……」
キッチンは特に変わったところが無かった。
……暗室にでっけぇ顔が見えるまでは。
俺はそっ閉じした。
「後は二階だけか……」
「二階は駄目です、奴のテリトリーですので」
「ダメなのか!?」
「はい……」
内見してよかったなぁ!こんな事故物件買う訳ないだろ!帰ってやるよ!
「……って事があってさぁ」
「え?そんな名前の不動産そもそも無いよ?」
「……え?」
この家多分事故物件だと思うんだけど……。 常闇の霊夜 @kakinatireiya
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