第21話 最下層
む、むむむ?
ホームに帰る途中、ホタルは怪しげな場所を見つけた。下へ降りる階段がポツッと空いていた。
ホタルはその階段を見て、自然に出来た物ではなく、人工のように感じられた。
可能性として考えていたが、ここは普通の洞窟ではなくて、ダンジョンと言う所ではないか?
ダンジョン。漫画や小説で良く出る馴染み深い言葉だ。
ダンジョンは迷路のように入り組んでいて、魔物も下へ降りる事に強くなっていく。
たまに宝箱があり、冒険者を名乗る者が探索する。
最下層には、ダンジョンの最強が待ち構えていて、勝てれば富や名声を手に入るなど…………
もし、ホタルが下へ降りようとすれば、ここの階層よりも強い魔物が待ち構えていて、殺されるだろう。
だが、ホタルは進む。
階段へ。
なんで、俺は階段に向かっているんだろう…………、下の方がヤバイとわかっているのになぁ。
だけど、自分は面白そうな場所を見つけたら行かないという選択はない。もしかしたら、退屈を紛らわせてくれるかもしれないのだ。
階段を一歩一歩と降りていくと…………
《最下層》
……う?
なんだ、最下層と流れてなかった?
いきなり、神のお言葉(笑)が聞こえたことに困惑する。レベルアップやスキルの取得とかに流れるお言葉だと思っていたが、どうやら違うようだ。
一度、上に上がると……
《4階層》
やっぱり。思っていた通りだ。
ってか、神のお言葉(笑)は思ったより役に立つな……
神のお言葉(笑)はレベルアップやスキルの取得以外のことにも、お言葉を流すようだ。
今回は、階層が変わったことでお知らせみたいに流れてきたのだ。
というか、もう最下層なのか。
はやいなー
最下層に降りたホタルは、ここが最下層であることに余り気を止めない。生まれた場所が4階層だろうが、最下層でもどっちでも良いのだから。
自分が勝ちを取れる相手さえいれば、問題はないのだから。
最下層でも、ネズミやGぐらいはいるんだろうな?
環境はあまり変わってないし。
ホタルにしたら、4階層も最下層も危険な魔物がいて危険なのは変わらないし、最下層の奥に何があるかの好奇心も止められないでいた。
間違いなく危険な階層に降りたはずなんだが、なんかワクワクするな。
わくわく、どきどき、ヤーハー!!
……………………ヤーハーはなかったな。
いつもより少しテンションが高いようだ。しかし、今回は一日中歩きっぱなしの様な気分だから、最下層も何処かホームを作って、休みたい所だが…………
休めそうな穴が見つからない。穴というより、巣穴だが。
むっ、周りは4階層のと余り変わらないが、巣穴が見つからんな?
まさか、ネズミとかGはここにいないといわないよな??
巣穴探しにしばらく歩き回ったが、巣穴どころか生き物にも全く出会わない。
なんだ、ここは?
4階層と変わらないと言ったのは撤回だ。
かれこれ、10分は歩いているのに魔物やネズミ、Gの生き物に出会わないのはおかしくないか?
生き物がいない最下層、ホタルは不気味になっていくのを感じ取れた。
だが、ホタルは進むしかない。
4階層に戻る手もあるが、戻ったら最下層に恐れたと自分が許さないからだ。
あ、こんだけ歩いても魔物がいないなら、道で休んでも良くね?
全くいないのは確信出来ていないが、これだけ歩いても会わないならここで休んじゃえと思い立ったのだった。
普通なら、その案はないと考え直すが…………そこはホタルのクオリティ。
まぁ、いいやー。
疲れたし、休む。
おやすみーー!!
あっさりと道で寝転がって、瞼を閉じていた。
そして、僅かな寝息だと思える音が聞こえてきた…………
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