第20話 初の進化

 


 ベディゴキアを食べ切ったホタル。あれだけの食料が一食だけで終わるとは、自分の腹はどうなっているのか気になり始めた。

 だが、それよりもホタルはとても、ご機嫌だった。




 か……ゆ、う……ま…………




 ゾンビ化する程に。


 してねーよ!?

 アレだ、Gの進化系があんだけ美味いとは…………

 つい、泣いてしまっただけだからねっ!? これだけのお菓子がこの世界にあるなんて、感動した。

 ↑

 注)ベディゴキアのことを話しています。


 あれは黒飴みたいに舌を柔らかに刺激を与える物だったが、これは違った!!

 中身はクリーミーで強く舌を唸らせる程の甘さ!

 ↑

 注)ベディゴキアのことを話しています。


 まさに、大量のクリームがのったショートケーキのようだ。巨体から半分程は残しておこうと思ったが…………つい、全部食べちゃったぜw


 食べた味を熱く語っているところに、ふと思い出した。


 あ、進化のことを忘れていた。


 生きていくのに進化は重要なことだが、ホタルは進化よりも甘々な生き物の形をしたお菓子を優先してしまった。

 だが、HP、MP、SPが全回復したから、そこまで意味がないことではなかった。




 よーし、進化すっか。




 軽い気持ちで、神のお言葉(笑)へ返事を返した。



 《進化条件を満たしています。サイバードルグから、サイバーレッグルへ進化出来ます。進化しますか?》

 ほいよー。


 何も考えずに、浮き出た進化のボタンを押すホタル。ホタルにとっては、進化は人生(犬生)で初めてのことだが、何も問題は無いと言うように、気軽に押したのだ。



 《進化を始めます》


 おぉっ?

 身体が光る!?

 うぉー、眩しいぃぃぃ!!


 自分の身体から発する光に、眩しすぎて眼を瞑ってしまう。どういう風に進化するのか見たかったが、これだけの光では体感で知るしかなかった。

 まず、両手両足が伸びた。更にあるかないかわからなかった舌が出来たような感じがした。

 身体も少し大きくなり、ア○ボ体型から脱し、だんだんと光が収まっていきーーーー


 《進化が完了致しました》


 いつもの神のお言葉が聞こえ、進化が完了したことを理解した。瞑っていた眼を開いて、自分の身体を見てみた。






 …………柴犬やけん、身体が機械なのはわかるが、どう見ても柴犬じゃねぇか!?


 形だけで柴犬だとわかるぐらいに、繊細な造りに見えた。この身体に毛皮があったら、本物の柴犬と見間違える自信がある。

 なんで柴犬なのか納得いかないが、前のア○ボ体型と比べたらマシなので、唸るしか出来なかった。そして、まだ終わっていないというようにーー



 《進化により、『嗅覚強化Lv1』、『反動耐性Lv1』を取得致しました》

 《進化ボーナスでスキルポイントを取得致しました》

 《スキルの経験値が溜まり、『HP上昇(小)Lv2』にレベルアップ致しました》


 反動耐性?

 どういう効果なんだろ?


 パッと見ただけでは、反動に対する耐性を得られるとしかわからない。そんな時は、解析を!!


 ーーーーーーーーーーーーーーーー


 反動耐性


 自分のスキルや魔法からの反動ダメージを減らす。


 ーーーーーーーーーーーーーーーー


 成る程。成る程。

 あれ、雷脚を使ってぶつかった時はどうなるんだ?


 厳密には、スキルや魔法のせいで自分がダメージを受けているわけでもないから、この耐性は仕事をしないのでは?

 そこは試してみないとわからないので、保留。

 次に、ステータスを表示させた。これが、進化後のステータスだ。



 ーーーーーーーーーーーーーーーー


 サイバーレッグル(名称 ホタル)

 Lv1


 HP:34/34

 MP:28/28

 SP:51/51


 物攻 20

 物守 30

 魔攻 20

 魔守 30

 速度 25


 スキル

 〈上級〉

『猛毒無効』、『病苦無効』、『捕縛無効』


 〈中級〉

『疾風Lv2』


 〈下級〉

『危険察知Lv2』、『解析Lv6』、『雷獣Lv3』、『気配操作Lv3』、『HP上昇(小)Lv2』、『嗅覚強化Lv1』、『反動耐性Lv1』


 ーーーーーーーーーーーーーーーー


 あまり、強くはなっていないな。全能力が5だけ上がったぐらいだし。

 まだまだ、隠れたり逃げたりする生活が続きそうだ。


 はぁっ、今日はもうやる気でねぇな。一日の楽しみが食事だけとか悲しいわ…………

 もう寝るぅ!




 ホタルは自分のホームへ帰り、一日目の生活が終わるのだったーーーー




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