第19話 疾風

 


 ベディゴキアという回復持ちの格上をスキル一つだけで、あっさりと倒してしまったホタル。

 進化とか神のお言葉(笑)があったといえ、先に確かめることがあった。

 解析がレベルアップしたのだから、ホタルが望むことを知ることが出来るはずだ。緊張しながら、自分のステータスを見てみるとーーーー


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 サイバードルグ(名称 ホタル)

 Lv10


 HP:2/21

 MP:5/15

 SP:15/36


 物攻 15

 物守 25

 魔攻 15

 魔守 25

 速度 20


 スキル

 〈上級〉

『猛毒無効』、『病苦無効』、『捕縛無効』


 〈中級〉

『疾風Lv2』


 〈下級〉

『危険察知Lv2』、『解析Lv6』、『雷獣Lv3』、『気配操作Lv3』、『HP上昇(小)Lv1』


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 今度はスキルが見えるようになった。もうここまで見れるようになったんだーと感動に打ち震えていたが、驚愕も混じっていた。というか、感動よりも驚愕の方が強かった。


 な、なんだと!

 既に、無効系が三つもあるだと!?

 でも、何故……?


 推測の域を出ないが、サイバーと付いた魔物だから、毒や病気にならないという特性を持っていたかもしれない。捕縛無効の方はわからないが…………


 ……まぁ、ないよりはいいか。

 それよりも、ようやくスキルが見れるようになったな!!

 一番、気になっていたのがあったんだよな。『疾風』ーーーー


 さっき、ベディゴキアを一撃でHPを削りきったことに、どういう効果なのか詳しく知りたかった。

 名称が疾風なのに、状態異常が【病苦】とか。

 疾風を選んで、解析してみたらーーーー


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 疾風


 疫痢(えきり)の異名。毒とは違い、自然回復も可能だが、蝕む速さは疾風の方が高い。


 ーーーーーーーーーーーーーーーー


 …………はい?

 疫痢!? 効果が全く違っていたような……?

 こっちのと前の世界では違っているってことか?

 ーーーーーーあー、わかんねぇ!!


 また謎が増えたが、この疾風というスキルは、【病苦】の状態異常を与えることが出来るだけはわかった。

【病苦】は毒と違って、自然回復が可能みたいだが、HPの減りが毒よりも早いという。

 実際に、ベディゴキアのHPも凄い勢いで減っていたのだから。

 こんなスキルを手に入れたのは、いつだったかな? と考えていたら…………




 あ、ネズミ?




 病気を運ぶ生き物で想像すれば、蚊、ネズミなどが思いつく。

 さらに、ネズミの魔物であるララットを倒した後にこのスキルを手に入れていたことから、取得条件がネズミに関わっているのは間違いないだろう。


 まさかなぁ、あのネズミからこんなスキルを手に入れるとは考えてなかったなー。

 運が良いと思うべきか…………いや、運が良かったらこんな身体にならなかったし、格上の魔物に出会う事にならないよなぁ。


 溜息を吐きつつ、他のスキルも確認しておいた。



『猛毒無効』→全ての毒に対して無効する。

『病苦無効』→病苦を無効し、全ての病気にならない。

『捕縛無効』→魔力が伴う捕縛を無効する。

『危険察知』→危険が迫って来るほどに嫌な気配を感じるようになる。

『解析』→対象の情報を得る。

『気配操作』→自分の気配に強弱を付けることが出来る。

『HP上昇(小)』→スキルレベル×1の上昇効果を得る。



 ふむふむ、最後のはゴミだな。

 スキルのレベルアップをしても、たった1しか上がらないとか……

 いや、(小)が付いていることから、まだ上があるはずだ。

 最後に、雷獣だが…………



『雷獣』→獣ごとくに雷を操る。(Lv1 雷牙、Lv2 雷砲、Lv3 雷脚)



 説明はこれだけだった。効果はもう知っているから、別に詳しく表示されていなくても構わない。だが、攻撃技がないのは何とかして欲しいと思うホタルであった。


 一日だけで、ここまでレベルが上がったといえ、これからはなかなか上がらなくなるだろう。自らのレベルもそうだが、スキルレベルはレベルが上がるごとに必要経験値が増えている。

 自分のレベルがあっさりと10まで上がったのは、サイバードルグが弱い種族であり、必要経験値が物凄く少なかったからだと考えている。

 じゃないと、たった一日だけで進化出来るレベルまで上がるのはあり得ない。


 まぁ、進化したら必要経験値も上がるんだろうし、またあんな化け物を狩らないと駄目か…………


 自分は、まだ身体が出来上がってない赤ん坊のような物で、いきなりベディゴキアみたいな魔物と戦うのは勘弁して欲しかった。




 塵も積もれば山になるーーーーのように、弱い魔物や動物を狩っていきたいが、ララットに続いてベディゴキアと邂逅してしまっているホタルは出会い運が強すぎるのではないかと疑うばかりだ。


 あーもう!

 俺をサイバードルグに転生させた奴がいたら、アイツは絶対にドSに決まっている!!

 どっから見て、笑っているに違いはない!!

 ぜってーに、生き残ってやるから見ていやがれぇぇぇぇぇぇぇぇぇッ!!




 叫んだつもりだったが、またとしてもザーザーと虚しく鳴り響くだけで終わった…………






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