第16話 命の別れ道
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………………
しっ!!
話し掛けるなよ、マジで話し掛けるなよ!!
……え、こっちの方が声が大きいだって? な訳があるか、これは心の声だから聞こえるはずがない!!
そうだ、聞こえる筈がない。気配操作もさっきレベルアップして4になったから気配も更に希薄になっているのに…………
カサッ、ガサッガサッ……
黒い物体がこっちに向かっている。こちらは岩陰に隠れて、気配を薄くして音も立てていないのに、こちらの居場所がわかっているようだ。
何故、こんなことになった!?
この状況になる前のこと。
ホタルは倒したギガゴキーボンを幸せそうに食べていた頃。
沢山あった、甘~い黒い生き物の形をした飴。液体をネリネリとすると、水飴みたいに出来て楽しかった。
まぁ、掴む手が小さすぎて苦労したがね!
やっぱり、人間だった頃の手が恋しいわ…………
いや、肉球が嫌いとかじゃないからね? 動物とかどうでもいいが、肉球だけは別だ。
ぷにぷに感が堪らないんだよ!?
うん、君もわかってくれるよな!?
…………返事はないか、神のお言葉(笑)は。
もしかしたら、一度はツッコミを入れてくれるかもと期待していたが、返事は全くなかった。
どうやら、神のお言葉(笑)は必要な時にしか声を流さないようだ。レベルアップ~、スキル~のようなお言葉をな。
もうここでやることはーーーーーーーーっ!?
危険察知が反応し、ホタルは咄嗟に近くの岩場へ身を潜めた。
キガゴキーボンを見つけた時は、危険察知が反応してなかった。だが、今はこのスキルが反応しており、このスキルは、自分より強い敵が近くに現れたら反応する。
そう、その危険察知が反応している。
強い奴がこっちに向かっている!?
あの時程じゃないが…………
毒の息を撒き散らしながら大きな身体を引きずっていた化け物のことを思い出しつつ、そぉっと岩陰から覗いてみる。そこにいたのはーーーー
まず、目についたのは三つの頭だった。だが、それは三つの頭を持った犬とか有名なケルベロスではない。
三つの頭だが、顔は見たことがあり過ぎる。それは、さっきまで殺しまくっていた生き物なのだから。
三つの頭から鋭い歯が覗き、涎が地面を溶かす。全長二メートルぐらいはある大きさに、黒光りしたツヤツヤな身体。
ヤバイ!
キモすぎぃぃぃ!!
三つ頭のGとかぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!
ホタルが覗いた時、解析も忘れずに三つ頭のGのことを調べた。その結果が…………
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ベディゴキア
Lv4
HP62/62
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無理、無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理!!
あれだろ、ギガゴキーボンの進化系だよな!?
あれから、あんな化け物になるとかわかるわけないだろ!!
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ベディゴキア
ギガゴキーボンが進化した魔物。三つの頭が特徴である。
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やっぱり、ギガゴキーボンの進化だ!!
試しに、ステータスにある種族のベディゴキアを解析したら、説明文が見えた。想像していた通りに、ベディゴキアはギガゴキーボンが進化した魔物らしい。
ホタルはあの時程に恐怖を感じないが、戦えばこっちが負けるのはわかる。なんとかギガゴキーボンの巣から出て、離れたい所だ。
だが、道へ行くための出口は一つしかなくて、その前にはベディゴキアがいる。
隙を見て、逃げ出すしかない。
果たして、俺はアレから逃げられるのか………………って、こっちに向かってないか? 何故!?
どうしてか、ベディゴキアは岩陰に誰かが隠れているの知っているように、ゆっくりと歩いていた。
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