第6話 レベルアップ

 


 《レベルアップしました。サイバードルグはLv1からLv2になり、スキルポイントが増えました》

 《スキルの経験値が貯まり、『解析Lv2』にレベルアップ致しました》



 え、ネズミを倒しただけでレベルアップ!? 魔物じゃなくても、上がるんだぁ…………


 ホタルは麻痺っているネズミの喉を踏みつけて、骨を折って殺していた。食料に……と考えての行動だったが、ネズミを殺しただけで、レベルアップしたことに驚いたのだ。


 あ、食料のために殺したけど、今の俺に食事は必要かぁ?

 いや、食べなかったらエネルギーはどうなってんだよと言われそうだな。神のお言葉(笑)に…………






 ツッコミはなしか。ツッコミがないのは虚しいな…………

 まぁ、いいや。ふざけるのやめて、レベルアップした解析の効果を調べんと!!


 レベルアップした解析で自分に使ってみた。


 ーーーーーーーーーーーーーーーー


 サイバードルグ(名称 ホタル)

 Lv2


 HP:11/11


 ーーーーーーーーーーーーーーーー



 おっ! HPがわかるようになったが…………11とか少なすぎじゃね?

 魔物から一撃でも貰ったら死ぬんじゃねぇのか! 強くなるまでネズミでも狩っていろってことか!?


 ギャーギャーと騒いだつもりだったが、声はザー、ザーッとしか出なかった。これ以上、叫んでも虚しいと思い、寝転がって黙った。

 ホタルはここが何処かまだわかっていないのに、無装備に寝転がっていじけていた。


 あー、あー、もう一回転生とか出来ねぇのか?

 こんな身体で強くなれんのか?


 不満、愚痴を垂れ流すが返事を返してくれる者はいないので、数十秒ぐらい寝転がってから諦めたというように溜息を吐きながら起き上がる。




 もうこの身体に転生したことなんだし、もう愚痴を言うの止めよ……

 俺以外のサイバードルグという種族に失礼だもんな。この身体でも必死に生きているかもしれないし。

 他のサイバードルグに出会ったら、生きるのを頑張っているな。と挨拶をするのもいいだろう。まぁ、いきなり襲い掛かって来なければなーーーー


 切り替えが早いのが長所であるホタル。悪い言い方をすれば、物事を軽く考えているとも言える。

 転生が出来ると知った後に、殺されることを特に感想を持たなかった相手に物事を軽く考えていると言われてもしょうがないだろう。




 はぁ、このHPじゃ、魔物とやるのは無理だろうな。しかし、ここは魔物いるのか?

 十分ぐらいは歩いているんだが、全く会わないな?

 いや、会わないのはいいことだが、なんか不気味だな……




 チュ?




 ーーーーあ、ネズミだ!! 経験値を寄越せーー!!


 不気味だと思った思考はあっという間に忘れ去って、再び見つけた魔物でもないネズミへ突撃するホタル。


 天才でも生きる(強くなる)ためにも必死になれることを証明したホタルであった。











 だが、ネズミは捕まえられなかった。四足走法にまだ慣れていなくて、転けたからだ。





 チクショー!! 経験値がぁーー!!




 もし、他の生き物が見ていたらこう思うだろう。




 ドンマイっ!(笑)と…………






  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る