第5話 物試し

 


 ホタルはここに留まり続けるのは危険だと判断して、通路を進んでいく。周りを警戒しながら、いつでも何処から敵が現れても、逃げ出せるように。

 たまに分かれ道があり、その時はあるか微妙な危機察知や勘に頼って、危険そうな道を避けて進んでいる。


 まず、ここが何処か知らないとな。今の解析を使っても、ロクな情報しか出ないし。


 さっきまで周りを警戒するついでに、解析を発動していた。壁や地面を解析しても…………




『壁』、『土』、『石』




 としか表示されなかった。今の解析は全く役に立たないので、レベルを上げたいところだ。今の所は、解析可能の距離や少々の情報を得られるしかわかってない。ちなみに、解析可能な距離は十メートルぐらいだ。

 強化するには、レベルを上げればいいのはわかるが、その方法がまだわかっていない。


 沢山使うことでレベルアップすんのかな?


 それか、ゲームのようにスキルポイントを使ってレベルを上げるとかありそうだと考えている。そのためには、沢山のスキルポイントが必要になりそうだが…………


 ん?


 常時に解析を続けていたら、一つの影を見つけた。よーく見たら




『ネズミ』




 がいた。魔物ではなく、ただのネズミだった。しかし、身体が30センチもあったことは驚いた。今のホタルはその二倍ぐらいの大きさしかないのだ。


 ただのネズミなら、雷牙の効果を見るには丁度いいかもな。


 ネズミに噛み付くのは、元人間であったホタルにしては勇気が必要だったが、今の身体はロボなのだから病気などの心配をしても仕方がないだろう。




 男は愛嬌ーーあ、間違った。度胸だぁぁぁぁぁ!!




 最近の女性は度胸がありすぎるので、一瞬だけ間違えたがすぐに言い直した。

 がぶっ! と雷牙を発動しながら噛み付いた。


 ネズミはホタルに気付いて逃げようとしていたが、脚はホタルの方が早かった。噛み付かれて、チュゥゥゥーーーーと鳴いていたが、すぐに動かなくなった。




 ん、んんん? 痙攣しているな…。まさか、雷牙は…………




 なんと、雷牙は攻撃技じゃなくて相手を麻痺らせる状態異常技だった。

 状態異常技とは、毒や麻痺、睡眠などの効果を与えるだけでダメージは皆無な技のことである。ちなみに、その名前はホタルが考えた。



 なんで、状態異常技が一番先に使えるようになるんだよ!? と言いたいところだが、今のネズミはピクピクと痙攣していて、麻痺しているのがわかる。傷は噛み付いた跡があるだけで、あまりダメージがなく、一瞬だけの雷で麻痺ったことから、麻痺を付加させる効果しかないのが明確だ。


 まぢかーー、攻撃技じゃなかったのか。


 攻撃技じゃなかったことから、今のホタルには攻撃方法が通常攻撃と麻痺付加の噛み付きだけ…………

 もう一回、言うが…………





 まぢかーーーー…………






ーーあとがき


次回は明日の朝7時に投稿します。


お楽しみに!!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る