第3話 スキル
人間にではなく、子犬型のロボットへ転生したことに驚いたが…………
まぁ、いっかと直ぐに立ち直った。むしろ、自分の人生が面白くなりそうだと言う喜びの方が強かった。
あっさりと自分の命を差し出すことが出来ることから、蛍は普通ではないのはわかっていることだ。
今、思ったんだが声が上手く出てないような……?
さっき、笑い声を上げていた時や驚きで声を出していた時、蛍にはこう聞こえていた。
「ザーッ、ザーザー……」
みたいなの。もしかして、子犬で身体が機械みたいになったから、喋れないかと思い、再び声を出してみたが…………
「ザ、ザ、ザーーー!」
変わらなかった。つまり、自分の声帯が喋るために作られてないのがわかる。それは困ると思っていた。
もし、あの皇女……ティリアだったな? 会うことがあったら、話せないのは不便だよなぁ。あ、死んでから何年ぐらい経っているんだ?
いや、あの皇女様だ。早く転生出来るように考えているはずだ。
なら、また会おうとは言わないだろう。しかし、どうしよう?
「ザ、ザーッ……」
何回も声を出しても、映像が乱れたような音しか出ない。…………いや、先にここは何処か知らないとまた死んでしまう可能性があるかもしれないのだ。周りを見渡しても、壁と通路しかない。なら、ここは洞窟ということになるが…………
む? 洞窟で光も明かりもないのによく見えてるな。この身体は夜目が利くのか?
あ、これはスキルの効果じゃーー
《スキルを取得しますか?》
む?
いきなり、頭の中へ言葉が流れてきて訝しむ。
《今、取得出来るスキルはこちらになります》
現在のポイント(100ポイント)
[解析] 50ポイント
[雷獣] 50ポイント
[HP上昇(小)] 100ポイント
[MP上昇(小)] 100ポイント
む、むむむ? ポイントを払うことで、スキルを取得出来るのか。
まるでゲームの世界みてぇだな…………って、取得出来るスキルが少なっ!?
10ぐらいはあってもいいんじゃないのかな? と思っていたが、今の状況を思い出した。今の蛍は子犬型のロボットなのだから、その身体では出来ることが限られているわけだ。犬の手では、人間の頃のように手先を生かした細かい作業も出来ない。
だから、今の時点で取得出来るスキルは少ないみたいだ。さらに、スキルポイントが足りないのもあるだろう。
うーん、スキルを一つか二つね……
100ポイントしかないから、全部取ることは出来ない。50ポイントのを二つか、100ポイントのを一つか選ぶしかない。
むむぅ、今は50ポイントのを選ぶのがいいかもな。雷獣とか、面白そうなスキルに見えるし!
よし、決めた!!
《***は『解析Lv1』を取得致しました》
《***は『雷獣Lv1』を取得し、『雷牙』が使えるようになりました》
よし、初のスキルをゲット!!
早速、スキルを使おうっとーーーーーーーーーーーーーーーーって、どうやって発動するんだ…………?
スキルの発動方法が全くわからない子犬型のロボット。スキルを手に入れたのに何も出来ず、そこでポッンと座り込むだけだった…………
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます