3 - 時は流れて

 それから、咲月さつきは毎日俺の家にやってきてギターを練習した。ギターに触れるたびに咲月は上達し、すぐにプロと遜色ないレベルにまでなった。


 同時に咲月は歌の練習もした。元々の実力も相まって、これもまたすぐに上達した。


 やがて咲月は、休日に駅前で弾き語りをするようになった。もちろん最初は知名度なんてなかったのだけれど、やってみなくちゃ分からないと果敢にチャレンジしたのだった。


 そして、ついにその時は来た。


 咲月のもとに、とあるレーベルからデビューの勧誘が来たのだ。


 咲月の実力が認められた、その瞬間だった。


 同時にそれは、俺と咲月の関係が掠れて見えなくなってしまった瞬間でもあった。

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