後編

小路君の奮闘は日々続いた。おばちゃんの霊との対話を重ねるうちに、彼女が見せるわずかな表情の変化から、彼女の内面に秘められた深い悲しみや未練を感じ取り始めていた。しかし、それが何であるか、おばちゃんの霊は決して口にしなかった。


小路君は、おばちゃんの霊がこの世に留まる理由を解明するため、彼女の過去を探り始める。地元の図書館で古い記録を調べたり、町の長老たちの話を聞いたりして、少しずつ彼女の生前の姿が浮かび上がってきた。


かつておばちゃんは、町の人々から愛される温かい心を持った人物だった。だが、ある出来事がきっかけで心に深い傷を負い、その悲しみは彼女が死後も霊となってこの世に留まる原因となっていたのだ。


小路君は、おばちゃんの霊が心に抱える未解決の感情を癒やすため、町の人々と協力して、彼女が生前愛した場所を美しく飾り、彼女のために小さなお祭りを開くことにした。町の人々は最初は戸惑いながらも、小路君の熱意に触れて次第に協力を申し出る。


お祭りの日、おばちゃんの霊は自転車に乗って現れた。彼女が目にしたのは、彼女を想って集まった町の人々と、彼女の思い出が詰まった場所が彼女を祝福する風景だった。彼女は驚き、そして徐々にその場の温かさに心を開いていった。


小路君はおばちゃんの霊に近づき、彼女がこの世に留まる理由が愛と悲しみであったこと、そして今は安心して旅立っても良いことを優しく伝えた。おばちゃんの霊は、長い間抱えていた重荷が解放されるのを感じ、涙を流しながらこの世を去っていった。


その後、町には不思議なほどの平和が訪れた。小路君は、おばちゃんの霊との出会いから多くを学び、人々との絆を深めることができた。彼は、霊感と超能力が人を助け、理解を深めるためにあることを実感し、お寺の住職としての道を歩む決意を新たにした。


『困ったおばちゃんの霊にご用心!』は、理解と許し、そして人と人とのつながりがもたらす奇跡を描いた物語。小路君とおばちゃんの霊の交流は、私たちに人生の大切な教訓を教えてくれます。

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困ったおばちゃんの霊にご用心! みっちゃん87 @bosanezaki92

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