第2話 女目線
ふふ。彼ったら、不思議そうな顔で観てるわ。
これは、あなた分に作ってあげたものなのに。
私は生まれつき霊感が強く、幽霊の類はこれまで数えきれないほど見ている。
なので、今回もバッチリ見えている。
それでも断らなかったのは、この部屋の家賃が格安だったことと、彼が割とイケメンだったから。
年齢も同じくらいだし、こうなったらもう割り切って楽しんだ方がいいよね。
食器を片付けた後テレビを観ていると、彼が私の視界に入らないよう注意しながら、テレビに目を向けている。
もし私に霊感があったら、気付かれるとでも思ってるのだろう。
私はそんな彼に気付かない振りをしながら、その後もテレビを観続けていた。
寝る前に風呂に入ろうと、脱衣所で着替えている途中彼の方に目を向けると、テーブルに隠れながら、しきりにこちらの方を気にしている。
いたずら心に、私がタオルで体を隠しながら、そっち方向に歩いていくと、彼は慌ててテーブルから離れ、クローゼットの中へ逃げていった。
その後、風呂から出て髪をドライヤーで乾かしていると、彼はテーブルの下に隠れながら、バスタオル姿の私を食い入るように観てくる。
私はさっきいたずらしたお詫びに、彼の気の済むようにさせていた。
やがて髪が乾くと、私はパジャマに着替え、寝室へ移動した。
彼は先回りしてベッドの下に隠れている。
無論、私は気付かない振りをして、そのままベッドに潜り込み、電気を消した。
暗闇が部屋全体を支配する中、私はある歌を口ずさんだ。
「ぐっ、ぐっ、ぐぐぐのぐー。朝は──」
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