第39話 ゴブリンキング①

俺はゴブリンキング。

ゴブリン達を率いる長だ。



俺は自分の群れを大きくし、

いつかゴブリンの王国を作り、

その統治者になることを夢見ている。



そのための第一歩として、

周辺の孤立している村を

襲うことにした。



他種族のオスは奴隷にし、

メスは孕み袋にする。



そうやって群れを拡大させていくのだ。



当初、計画は順調に進んでいた。



だが少し目前、猫人族の村を

襲った所、正体不明の狼やスライム

達に攻撃され大きな損害を受けてしまった。



少し前まで雑魚しかいなかったというのに

どこからあんな奴らがきたといのだ。



奴らのせいでせっかく集めた部下達たちがやられてしまった。

腹が煮えたぎる思いだ。



俺の完璧な計画を妨害しやがって。

あの村は絶対に許さない。



失った分は奴らの体で取り戻してもらおう。

そう誓った。



だが俺も馬鹿ではない。

正攻法ではあの狼たちに勝てないこと

くらい理解している。



だから戦略を練った。



まずは村への攻撃はいったん中止した。

下手に警戒されれば逃げるなり、戦力を

整えるなり対策されてしまうからだ。



次に部下達を増やすことにした。



他のゴブリン達を襲い無理矢理従わせ、

一気に数を増やしていく。



おかげで俺の群れはゴブリンシャーマンや、

ゴブリンウォーリア、それにオーガまでいる

大軍団となっている。



もう正面から戦っても負ける訳がない。



だが、油断はしない。



攻撃するのは夜にする。

前回は満月の時だったが、

今度は新月の暗闇に紛れてする。



そして前回はあの狼の嗅覚によって

奇襲がばれたので、部下達には泥を

塗り、臭いも消させるのだ。



さらにさらに、部隊を複数に分けて

全方位から村を襲撃する。



そうすれば例え攻撃が失敗したとしても

数人くらいは村人を誘拐できるだろう。



力の無い少女などは特に簡単に。



もし失敗してたとしても、そのガキを使って

数を増やし、再び村を襲撃すればいい。



増える速度はこちらの方が上なのだ。

どちらにころんでも、こちらの勝利は揺るがない。



あの村を襲ったら、次は人間の町だ。



町を手に入れて、大量の奴隷と孕み袋

を手に入れられれば、ついにゴブリンの

王国の完成が見えてくる。




思わず口角があがってしまう。



楽しみにしていろ、人間共。



・・・新月の夜。



静かにゆっくりと部隊を村へと侵攻させていく。

やつらめ、油断して寝静まっておる。



暗闇と臭い消しと、油断によって奴らは

こちらに気づいていない。



くくく、馬鹿なやつらめ。

これから惨劇がまっておるというのに。



貴様らの最後の安眠だ。

とくとむさぼっていればいい。



部下達が配置につくのをまち、

準備完了の報告をうける。



さて、始めようか。

手を上げて部下達に攻撃の命令をだす。



俺は、ああ、ここから俺の伝説が始まるのだと

物思いにふけった。



数秒後に、とんでもない後悔に

襲われるとも知らずに。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る