第38話 探知鳥とシュミュレーション

探知鳥。



図鑑の説明によると、生物や音を探知して

その情報を共有してくれる小鳥である

とのことだった。



うん。今の状況にぴったりな子じゃないかな。



現状、村の衛兵は足りていない。



だからいかにその少ない衛兵さん達に

効率的に動いてもらうかが大切になるのだけれど、

そのためには正確で迅速な情報の共有が大切だ。



敵の数や性質が正確に分かっていれば、戦うのか、逃げるのか、

戦うならどのように戦うのかなどがすぐに選択できて

無駄にする時間が資源が減らせるからね。



会社でもひたすらがむしゃらに働く人より、

しっかり相手がどんな人で、どんな風にすれば

喜んでもらえるのか理解している人が強かった。



だからただ戦える存在を増やすよりもいいだろう。



よし、じゃあこの子にしようと決めて、

ページを開き、来い!と念じる。



お!来てくれた!



あれ?探知鳥は複数匹なんだ。

数え切れないくらいいるぞ!?



ちょ。耳たぶつままないで。

ああ、髪の毛引っ張らないで。



元気な子達だなあ。

うん、これからよろしくね。



ピヨピヨと返事してくれた。

かわいいな。



じゃあ、探知鳥さん達、さっそくお願いできるかな?



そう小鳥さん達にお願いすると、

小鳥さん達は一斉におのおのの方向に

飛び立っていく。



おお!すごい!

小鳥さんたちの視界が共有されて

いろんな景色が見えてる。



これは、森の中だね。



村を360度囲むように小鳥さん達が

移動してくれているのか。



ふむふむ、自然の監視カメラだね。

しかも自由に空も移動できるすぐれものだ。

すごいや。



木の上で待機してくれている子、

空中を飛で全体を見渡している子が

いてとても状況を把握しやすいや。



あ、そんなこといってたらゴブリン見つけた。

村にこっそり近づこうとしてる。



戦うにしては数も装備も変だ。

やつらもこちらを偵察しているのかな?



それなら放置はできないな。

小鳥さん達に戦闘力はない。



だから急いでフェル達を呼んできて・・・。



あ!そんなことを考えてたら、フェルがゴブリン

を倒してくれた。



あれ?指示してないのにどうしてだろう?



え?なになに?



召喚されたみんなは僕の頭を通じて、

情報を共有している?



だから指示されるよりも先に動ける、だって。



まじかよ。



じゃあフェルは小鳥さんたちがゴブリンを

見つけたから、その情報をもとに駆けつけて

くれたっていうわけか。



うへえ。



なんだかえげつないなあ。



完全に司令塔の気分だよ。

シュミュレーションゲームみたいだ。



でも効果はてきめんみたいだね。



後は鐘でも作って

敵を見つけたら小鳥さん達に

つっついて貰うようにすれば

衛兵さんや村の皆にも伝わりやすく

なるのか。



うん。そうとなれば早速つくってしまおう。

そしてこれからよろしくね、小鳥さん。

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