第36話 転移魔法とラナちゃんと500歳児
今日はラナちゃんに見て欲しいモノがあるということで
彼女の魔法の訓練を見学している。
ラナちゃんとサラさんが地面に
何かを描き、そして手を合わせてつぶやき始めた。
次の瞬間、二人が目の前からいなくなる。
驚いて当たりを見回すと、
なんと真後ろに二人が移動していた。
思わず僕はひっくり返ってしまった。
二人曰く、これは転移魔法というものらしい。
人や物体を好きな所へ瞬間移動させる魔法だ。
使うためにはとんでもない量の魔力と
それを正確に制御する技量が必要であるらしい。
今回は魔力を賢者の石で、制御をラナちゃんと
サラさんの二人で行うことで実現したとの事だ。
まだ距離的には十数メートルが限界だが、
これからもっともっと伸ばして行けるだろう
とのことだ。
僕が二人に驚いていると、ラナちゃんが恥ずかしそうに
頑張った甲斐がありました!と照れてくれた。
僕を驚かすためにコツコツ練習をしてくれていたらしい。
感極まって思わずラナちゃんを抱き上げる。
純粋に、その気持ちがうれしかった。
「うへへ~、タクマ様に喜んでもらえて良かったです!」
笑顔がかわいい。天使だ。
お礼に次町にいったらおいしいモノを
買ってきてあげようと思った。
「ちょっと、私もいるんだけど」
ラナちゃんとお話していると、サラさんが
不服そうに僕の服の袖を引っ張ってくる。
顔はプクッと膨れ上がっていた。
サラさんにもお礼を言うと、
彼女は表情を変えないけれど、
嬉しそうに長い耳を少し動かしてくれた。
・・・ラナちゃんのクセが移ってきていないだろうか?
その後、エーソンさんのお世話をしながらも、
久しぶりにサラさんと一緒にお酒を飲んだ。
サラさんは今までかなり溜めていたようで、
それを一気にはきだしてくる。
ラナちゃんの前では必死に立派な大人を演じようと
している弊害らしい。
酔った彼女は完全に500歳児だった。
ただ、こうやって一緒に飲むことが
彼女のガス抜きになってくれているならば、
それほど嬉しいこともない。
うん。こっちも楽しいですよ。
でも少し飲み過ぎですかね?
もう寝ましょうか?
「やだあ!私をやほやして!
もっと!もっとお!」
・・・訂正。
500歳児じゃない。
赤ちゃんだった。
必死に要求をしてくるので、
すごいですね、さすがですなど
いっぱいちやほやしてあげると、
「そうだろう!そうだろう!」
と、とても満足げな表情になってくれた。
ちょ!お酒くさい!
ダル絡みしないで!
しばらくダル絡みされた後、
サラさんは満足げな表情で眠り始めた。
安らかな顔だ。
そのままサラさんをベッドへとつれていく。
お仕事とお疲れ様です、いつもありがとうございます
と感謝を伝えて、分かれるのであった。
次の日の朝。
「頭いたい!飲み過ぎたああああ!」
サラさんは二日酔いだ。
・・・子どもか!
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