第32話 全裸はダメです。服きてください

大きな引っ越しをした。

エーソンさんを村に迎えるための引っ越しだ。



工房の荷物を片っ端からマジックバッグに詰めて、

そして本人は僕が背負って村まで移動した。



そして村ではエーソンさんがすむ用の小屋を

新しく作った。



新築で綺麗な小屋だったのだけれど、

結局エーソンさんの荷物をおいたら

ただの倉庫に早変わりだ。



で、肝心のエーソンさんだが村についての

感想は特になし。



ああ、息すうの面倒くさいとつぶやいていた。



うん。まあ、問題が起きるよりいいんじゃないかな?



それに村の人達に危害をくわえることもなさそうだし。

とりあえず賢者の石の魔力の無限供給を施して

一緒に生活を始めることとなった。




一週間後。



一週間一緒に過ごしてみて分かった。

エーソンさん、想像以上にヤバい方だった。

いい方でも、悪い方でも。



まずは悪い方からいこうか。



ご本人が言っております通り、本当に

エーソンさんはめんどくさがりやだった。



めんどくさがりやといっても、普通とは次元が違う。

食事も自分で取らなければ、服も着ない、お風呂にも入らない、

トイレは、まあかろうじて行ってくれるからいいけれど、

それ以外は本当にダメダメだ。



自分の手が届く範囲のことですらめんどくさがる。



だから今は僕が付きっきりでお世話している。

サラさんとの約束だからね。



・・・ペットかな?



特に女性なのに恥じらいというものがなくて困っている。



小屋ではなぜか服を着ずに全裸で過ごしていて、服をきてほしいと

いうと、重要な部位にはシール貼ってあるから大丈夫、とどや顔で言っていた。



よくねえよ。



後お風呂にも入らない。そのせいで僕が丸洗い

する羽目になっている。



さすがに女性にやって貰った方がいいか?とも

思ったけれど負担になってしまうのでやめた。



エーソンさん自身は僕に見られても気にしていないようだった。

シール這ってるから大丈夫だって。



だからよくねえよ。



食事もいちいち口まで運んであげないといけないし、

お仕事をする際も、エーソンさんは本当に必要な

ことしかしてくれない。



だから作業台まで運んだり、必要な部品を彼女の

前まで持ってきたりなどすべてやってあげている。



ただ少しづつクマが薄れていっていたり、

ガリガリだった腕と足も健康的になってきているから、

作業の効果は実感してるんだけどね。



まあ、悪い点はこのくらいかな?



後は一日中小屋に籠もっているから

運動不足が心配というだけで、村のみんなとは

とくに衝突もなくなじんでいる。



衝突があるほど会話してないだけなんだけど。



でもね、そんなデメリットを帳消しに

してくれるくらい、彼女の作る、魔道具というのは、

すごくて革新的なものだったんだ。

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