第28話 ラナちゃんと爪切り!
「タクマさま。爪を切ってもらえますか?」
そう言いながらラナちゃんは爪切りを僕に渡してきた。
ラナちゃんはどうやら爪を切るのがとても苦手であるらしい。
というか、ラナちゃんがというよりこの村の住人の多くが嫌って
いるので猫人族の特徴なのだろう。
いつも爪きりとなると村が賑やかになる。
完全に猫だと思った。
ラナちゃんも本当に爪切りが苦手らしい。
今までも毎回目をつむり、一度切られるたびに
飛びはねはがら、なんとか切ていたのだとか。
爪は切らないと伸びて危ないので、
絶対にやらないといけない。
そして僕を頼ってくれるのは嬉しいのだけれど、
上手く出来るか正直不安だ。
でもラナちゃんはどうしてもやって欲しいとの
ことだったので、爪をきって上げることにいた。
ラナちゃんが僕の膝の上に座る。
そして彼女の手を持って、爪切りを持ってくる。
「じゃあ、切るね」
「にゃあ」
その声を合図に爪切りを始めた。
パチンパチンと音がして、
爪が整っていく。
ラナちゃんは目をつむり、体を震わせている。
声もとても不安そう。
本当に怖がっているようだ。
う~む、これはよくないよな。
爪を切るたびにこんなに怖がるとなると、
ラナちゃんも大変だろう。
なにか、もっとリラックスできるもはないだろうか?
怖いのは仕方が無いことだ。
僕も前世では休日が終わるのが怖かったし、
それを気合いで克服しろ!といってきた上司は
もっと怖かった。
本人が好きで怖がっているわけではないのだからね。
責めたり、頑張れと言うのはお門違いだ。
ラナちゃんは十分もう頑張ってくれているんだ。
だからなにかこちら側できればいいんだけど。
そう考えているうちに、爪切りは終わってくれた。
ラナちゃんはまだギュウっと目をつむって縮こまっている。
「終わったよ。頑張ったね」
そう伝えるるとラナちゃんはおそるおそる目を開けて
自身の爪を見た。
そして本当に爪切りが終わっている事を確認すると、
「にゃああああああ!」
と僕にしがみついてくる。
よほど怖かったようだ。
泣き叫ぶラナちゃんをよしよしと落ち着かせる。
村長によると、これがいつもの事らしい。
それどころか少しマシだそうだ。
うん。早めに対処する必要がありそうだね。
対策も、すぐには思いつかないや。
猫ちゃんだと洗濯ネットにいれるといいというのは
何かでみたことがあるきがするけど、
ラナちゃん相手は犯罪臭がしてしまう。
サラさんに相談してみようかな。
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