第25話 果実酒とジュース!

今日は果実酒を作っている。



果実酒といってもワインみたいに

果物からお酒を造るタイプじゃなくて、

お酒に果物を漬けるタイプのモノだけどね。



町で買ってきたお酒に、トレントさんの

果物をいれて試しに作ってみているんだ。



さすがに一からお酒を造るのは大変すぎて無理。

魔法でずるが出来るとしても、技術が足りなくて

たぶんあまり質の高いものがつくれない。



だから最初は簡単な方から作っていこうと思う。

いつか一からお酒も造りたいけどね。



町では仕事帰りの労働者さんたちが

いつも酒場でお酒をたくさん飲んでいから

お酒の需要はたくさんある。



トレントさんの果実はおいしいのだが、

残念なことにあまり保存がきかない。



だから取ったらすぐ食べないといけないんだ。

そのせいで町に売りに行くのも難しいから、

どうにか出来ないかと考えていたらこの方法を思いついた。



トレントさんの木の実をよく洗って、

よく水気をふく。



そうしたら一度サラさんに木の実を凍らせてもらって、

解凍してもらう。



なぜそんなことをするのかといえば、お酒に木の実の

果汁を浸透しやすくさせるため。



本来ならお砂糖を入れると勝手にやってくれるんだけど、

こっちの世界ではお砂糖は高級品だからね。



代わりに凍らせて木の実の細胞を破壊して果汁を

出やすくしといた方が、完成度が高まる、はず。



そうしたら後はこの木の実をお酒に漬けて、

6ヶ月くらい置いておいたら完成だ。



まあ、おそんなに待てないからサラさんに

魔法で加速させてもらうんだけどね。



もちろんサラさんへの報酬は、この果実酒です。



さっそく完成したモノを味見してみる。



おお!甘い。

お砂糖を使ってないのに、

すごく甘い。



そして木の実の風味も残ってて

すごくおいしい。



これなら少し多めにつくって

保存しておくのもいいかもしれない。



ちょ、サラさん?



あの、そんなにお酒造らなくて大丈夫ですよ?



ま、まだ売りに行くのは後ですし。



え?自分で飲む用?



そ、そんなにのむんです!?

ダメだって。



気に入ってもらえたのは分かったから、

少し落ち着いて。



あ!ラナちゃんまで。

ダメだよ。お酒は二十歳になってから。



もう少し待とうね。



でも確かに大人が飲めるモノばかり

増やすのも不公平だよなあ。



子どもがおいしく飲めるモノ。



ジュースとかかな?



でも今はトレントさんの木の実しかないし・・・。



え?別の木の実も付けられる?

え?トレントさん、そうなの?



あ!すごい!

トレントさん別の木の実を付け始めてくれた。



今度のはブドウみたいな奴だね。

とりあえずラナちゃんにはこのブドウモドキを

上げて時間を稼ぎつつ。



その間にブドウを搾って飲み物を作れば、完成!

ブドウモドキジュース。



ラナちゃん、どうかな?



お!ラナちゃんの尻尾と耳が立った。

気に入ってもらえた証拠だ。



よかった。



でもラナちゃん、あんまり飲み過ぎないようにね?

何事もほどほどが一番だから。



そしてサラさん。



あなたはしばらくお酒禁止。

樽、まるまる飲まないでくださいよ。

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