第24話 ぎゃん泣きエルフ!弟子の方が才能あるとか聞いてない!

「うえ~ん!もう追いつかれちゃったよおおお!

私の方が500年年上なのに~!!!!!!!!!

悔しいよおおおおお!でもうれしいよおおおおお!」



夜、サラさんはお酒に酔いながらそう大声で

さけんでいた。



内容は、ラナちゃんのことについてだ。



ラナちゃんの成長速度はすさまじいらしい。



すでに先生であるサラさんすら越えようとしている。

その才能は素晴らしいんだけど、教える側の

サラさんの気持ちは複雑なようだ。



サラさんには魔法使いとしてのプライドがある。

エルフとして長い年月を生き、そのほとんどを魔法に

費やしているのだ。



自分が一番魔法が扱うのが上手くありたいし、

そう思ってもいたいだろう。



でも現実は非情である。



そのサラさんのプライドをぶち壊す子が、

目の前に表れてしまったのだ。



しかも環境も恵まれている。



サラさんは劣悪な環境で頑張ってここまで

来たとのことだから余計に気になるのだろう。



確かに、愚痴をこぼしたい気持ちもわかる。



「でもさ~、ラナちゃんかわいいんだよ!

いつも教えて!教えて!って聞きにきてくれるし!

この子が憎い!でも大好き!ムチュウー!」



けれどサラさんはラナちゃんの事が大好きなことは

伝わってくる。



魔法を教えているときはいつも全力だし、

嫌な顔すら見せはしない。



私情を挟まないのはとてもサラさんが大人で

ある証拠だと思う。



そう僕がサラさんに伝えると、サラさんは

涙で目をぬらしながら、両手をこちらにだして、



「もっと!もっと慰めろ!タクマ!」



と言ってきた。



前言撤回。

ぜんぜん大人じゃないかもね。



でも下手に大人ぶられるよりもいいのかも。



お互いダメなところは補い合いながらいこうかと、

サラさんの頭をいい子いい子となでながら思うのであった。



そしてラナちゃん本人はそんな師匠の嘆きなど

気にならないくらいぐっすりと眠っている。



僕のお世話係や、村の手伝い、それに加えて

魔法の特訓までしているのだ。



疲れないわけがない。



ラナちゃんも、サラさんも

どちらもたくさん頑張ってくれている。



そんな方達が、もっと頑張れるように、

僕も頑張ろうと思った。



特にお金関係は二人が気にしなくていいようにしたい。



スヤスヤと眠り始めたサラさんを寝床にそっと乗せて、

小屋の外に出る。



小屋の外に出ると、すぐにフェル、スライム3兄弟、

トレントさん、ゴーレムくん、ワームくんが来てくれる。



みんなにも僕の決意が伝わっているようで、

任せて!と心強い表情をしていた。



うん。これからもよろしくね、みんな。

一緒に頑張ろう。

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