第23話 ラナちゃん、おぬし天才じゃったか

「タクマ様!見てください!

私も魔法が使えるようになりました!」



そういいながらラナちゃんは目の前で火をおこしてくれる。

小さな火だ。でも確実に進んでいる証拠だ。



思わず自分の事のように喜んでしまった。



サラさんの話によるとラナちゃんは物覚えも良く、

学習についても積極的なため上達がとても

早いらしい。



それに加えて、賢者の石による無限の魔力供給

のおかげで練習もし放題だ。



伸びないわけがなかった。



ただそう考える、

この村以外の魔法使いはとても

大変な思いをしてるのだなと思う。



だって実際の訓練は魔力の関係で

一日数回しかできないのだ。



そうなれば魔法使いを育成するのには

とてつもない時間がかかる。



サラさんみたいに長寿なエルフならば

長い年月をかければ出来るかも知れないけれど、

人間という寿命すら短い生物では

とても魔法使いをたくさん生み出すなんて

不可能なわけだ。



サラさんが賢者の石をみて気絶した

理由も今なら分かる気がしてきた。



えげつないね、この石。



と、話がそれてしまった。



これでこの村には二人目の魔法使いさんが

うまれたわけだ。



鉱物を売って得たお金は、存分にラナちゃんの

魔法教育のための資金にあてるつもりだ。



そしてそれが上手くいったのならば、

他の子達にも同じ教育を受けてもらって、

この村自身がお金を稼げる仕組みを完成させる。



うん。なかなかいい感じじゃないかな。



・・・それに、ラナちゃんは魔法を扱っている

時、とても笑顔で嬉しそうだ。



村の将来とか、お金とかそういうこと関係なしにも、

応援してあげたいなと思った。



楽しそうなのは、いいことだ。

お金があっても、豊かになったも、

笑えなければ意味は無い。



前世の自分はそういう所をはき違えて、

最悪な死に方をしたのだ。



だから、もう間違えたくはない。

大切なものをはき違えずにいこう。

そう思いました。




次の日。



ラナちゃんがめちゃくちゃ大きな炎をおこしていた。



あ、あれ?



昨日は小さな火だったよね?

一日ですごくない。



でも賢者の石がつかえればこんなものかな?



・・・サラさんの顔は引きつっていた。

あ、うん、たぶんちがうね。



「あんな子がたくさんいてたまるか!

数百年に一度の天才だよ!」



とのことです。



どうやら、ラナちゃん、魔法の才能持ちみたい。



これからのことを考えて、小さなものから

育てていこうと思ったら、とんでもねえ塊を

掘り当ててしまったみたいだ。



最高の環境×数百年に一度の天才、か。



うん。何ができるか楽しみだね!

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