第17話 念願のお風呂!

「タクマ、ちょっとあなたのゴーレムを借りれるかな?」



村に帰宅しラナちゃん達にお土産を渡している時、

サラさんにゴーレムくんを貸して欲しいといわれ、

いいですよと返答をした。



しばらくすると、なんとお風呂が出来ていた。



鉄の桶の周りを土で固めてつくる

五右衛門風呂方式のお風呂だ。



村の外れに、木の板で外から見えなように

敷居を作ったところにできていた。



サラさんは、これでお風呂にはいれるよ!

と胸を張っていた。



町ではよく入っていたらしい。

そして森を長期間さまよっていたので

お風呂に入りたいという禁断症状が

発症してしまったのだとか。



確かに、この村では水浴びが主流だからね。



お風呂を知っていると、少し不満に

思うこともあるかも。



でも、まさか、本当にお風呂を作ってしまうとは。

驚きだ。



しかしいわれてみると納得する。

以前はお風呂はお水の問題や燃料の

問題で断念したのだ。



それらは魔法が使えるサラさんがいる

今、解決されている。



だからお風呂は十分運用可能なのだ。



サラさんがお風呂に水を入れ、

火の魔法で加熱をはじめる。



するとあっという間に、

お風呂が沸き上がった。



一番最初に入るのは村の子ども達

だった。



サラさんが町で買ってきた石けんなどを

使い、体を綺麗にしていく。



サラさんとラナちゃん達のはしゃぐ声が

遠くにいても聞こえてきた。



いいな。絶対気持ちいいだろうなと、

体がソワソワしてきてしまう。



僕は順番待ちをしている間に

トレントさんの所に来ている。



そして根っこの所に、町で買った栄養剤を

さしてあげる。



この所、トレントさんは働きっぱなしだ。

彼のおかげでこの村は食料にこまらないでいる。



だから、その恩返しであった。

トレントさんはとても喜んでくれた。



「タクマ様!お風呂すごかったです!」



トレントさんと戯れていると、

体からポカポカと湯気を出した

ラナちゃんが駆け寄ってきた。



頬が赤く染まり、しっかり体の

芯まであたたまった事が分かる。


そして石けんのいい匂いがすぐにしてきた。



そのまま僕に抱きつこうとするラナちゃんを

制止しつつ、少しお話をする。



せっかく綺麗になったのに、汚れた僕に抱きついたら

台無しだからね。僕がお風呂に入るまでお預けだ。



ラナちゃんは興奮気味にお風呂の素晴らしさに

ついてかたってくれた。



文化が全然違うから、受け入れてもらえるかどうか

不安だったけど、どうやら好評のようだ。



そしてこんなに嬉しそうな姿を見せられてしまうと、

自分も俄然、お風呂に入りたくなってしまう。



そうやって時間を潰していると、

ついにお風呂の順番が僕に回ってきた。



ラナちゃんと分かれて、

さっそく準備し、お風呂へと向かった。



これで今までの汗が一気に流せると思うと、

お風呂に向かう足は速くならざるおえなかった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る