第5話 メイドの呪い。
『【呪術】のレベルが上がりました』
一度使うと粉々に砕ける欠片を何個も作り、水に漬けて柔らかくしてから食べていると何度目かのレベルアップを告げる声が頭の中に響き、そろそろお腹も膨れて来たのでステータスを確認すると。
名前;シャルド
種族:呪人
年齢:0
職業:見習い呪術士_LvMAX・転職可能!
職歴:なし
ユニークスキル:【呪属性魔法】
スキル:呪術_Lv6
解呪_Lv4
耐性:【呪い吸収】
称号:【神呪を克服した者】
もう転職可能になってた。
見習いだから速いのかな?
職業は増えてるか……。
『選択可能な職業:呪術士、見習い呪言士、見習い呪魔術士』
おお、増えてる。
呪術士は分かるけど、呪言士は『じゅごんし』と読むのかな?
呪いの言葉を操る職業っぽい。
そして呪魔術士は『のろいまじゅつし』だと思うけど、なぜ呪が付く?
普通の魔術士は出ないのか?
いや、普通の魔術スキルを取得すれば出るかも?
とりあえず次の職業は、せっかく見習いをしたし『呪術士』を選択!
『呪術士に転職しました。【呪術】と【解呪】のレベルが上がりました』
名前;シャルド
種族:呪人
年齢:0
職業:呪術士_Lv1
職歴:【見習い呪術士】
ユニークスキル:【呪属性魔法】
スキル:呪術_Lv7
解呪_Lv5
耐性::【呪い吸収】
称号:【神呪を克服した者】
さて、次は本を探そうかな。
この世界の事が分かる本があれば良いけど。
「ガト、歴史書や魔術の本ってある?」
『本……城に行けばあるはず』
「なるほど、城なら蔵書があるか……この屋敷を探索してから城に向かおうか」
『了解』
2階に見えた呪いを吸収してレベルを上げたい。
なぜ呪いを吸収してレベルが上がるのか分からんけど、上がるなら吸収するよね。
ガトとアルを連れて1階へ戻り、探索を開始。
1階は特に何も無く、すぐ2階へ上がると階段を上がった所に黒い人影が佇んでいた。
感覚で呪い、念の塊だと分かり吸収しようと近づくと呪いが離れていく。
俺は首を傾げ、更に近づくと近づいた分だけ離れて行く呪いに、俺は立ち止まって考える。
一定の距離を保って俺に吸収されないようにしてるのは、何か意味があるのか?
何もして来ないのは、別に攻撃的な呪いじゃないっぽいけど、何か伝えたい事があるのかな?
「何かして欲しい事がある?」
そう問いかけると呪いは、ユラユラ揺れたと思うと廊下の奥にある部屋へスーッと移動を始めた。
何かあると思い後を付いて行くと外から見た時、窓際に人影があった部屋だと分かり、部屋の中を見回す。
埃が溜まってるが良いベッドが奥にあり、化粧台やテーブルと椅子なども置かれた部屋。
呪いはベッドの上で揺らめいている。
女の人の部屋だな。
あの呪いは何を伝えたいんだ?
ベッドに近付くとそこには、白いドレスを着た白骨死体が横たわっていた。
寝たまま死んだっぽい。
服が破けてるって事は、何かに殺された可能性が高い。
「ん?」
あぁ、なるほど。
呪いはこの死体のものか。
黒い靄が白骨死体に纏わり始めたよ。
で、俺に何をしてほしいんだろうか?
……もしかしてガトやアルみたいに、呪い生物にしてほしいのかな?
ん~、レベルを上げるために吸収したかったんだけど、呪いの願いを聞いてやりたいと思うのは、俺が呪人だから?
しょうがないと思い俺は、職業レベルが上がって増えた魔力を少し多めに消費し、呪属性魔法を発動。
その瞬間、黒い靄はより濃くなって白骨を飲み込むと徐々に真っ黒な球体になり、暫くモゾモゾ動くと球体から徐々に人の形になっていき、数秒程経つと長い金髪を後ろで縛った、可愛らしいメイドさんが現れ、目を開きベッドから降りるとお辞儀をする。
「偉大なる主様、私の願いを聞き入れて頂きありがとうございます」
身長は160くらいかな?
16歳くらいの少し幼さが残る可愛らしい女の子だ。
声も綺麗。
「君の名前は『ルタ』だ」
「ありがとうございます」
嬉しそうに微笑むルタ。
ルタは、前世の世界でメイドという意味の言葉で、彼女の見たままで付けた。
それにしても、呪い生物って魂はあるのかな?
そこが謎だ。
ガトは人間を基に作ったから魂があるとは思うけど、ルタは白骨死体と呪いから作ってる。
なのに、ちゃんと自我があるように見えるのは、なぜだろう?
そこんところもいずれ、解明したいね。
「ルタの願いとは?」
「私は、この屋敷でお仕えしておりましたが、お嬢様を助けられず死んでしまいました」
「生前の記憶があるのか!?」
しかしルタは首を横に振る。
「いえ、ただ『お嬢様のお世話をしたいという気持ち』だけが残っておりました」
それが呪いの基になったのか。
メイドの鏡だな。
死んでもお世話をしたいと思うとは……あれ?
ベッドの死体はもしかして、そのお嬢様の死体だったのでは?
でも、呪いはメイドのモノだから、見た目はメイドになった?
骨を呪物にしてそれを依り代に、ルタという呪い生物が生まれたって事かな?
一応お嬢様の記憶はあるのか聞くと、無いそうだ。
骨にお嬢様の念や呪いが残っていれば、また変わったのかもしれない。
記憶は呪いの基となる念に近いものが残ってるのかも?
他の呪い生物を作る時に、その辺りを確認しよう。
その後、屋敷の中を見て回り、微かに残っている呪いを吸収してから城へと向かった。
ちなみに、屋敷に本は無かったよ。
屋敷だからあっても不思議じゃないけど、本棚はあったので誰かが持ち出した可能性が高い。
火事場泥棒ってやつかな。
アル、ガト、ルタと一緒に街中を歩きながらこの世界の事を聞くと、結構いろいろ分かった事がある。
1月が30日で12ヶ月の360日で1年らしい。
そして1日は24時間、これは地球や他の世界とも同じだ。
あとは通貨。
この辺りは『ルブト』というらしく、銅貨、銀貨、金貨がどの国でも使われているとの事。
ただし、国によってサイズが違うので価値は変わる。
銅貨1枚で10ルブト、銀貨1枚で100ルブト、金貨1枚で1000ルブトでその上に大金貨の1万ルブトが存在するが、一般人が使う事は無いという。
ガト達が居た地下に保管されていた木箱に、大量の銅貨や銀貨と金貨も少しあったので木箱に入れたままガトに運んでもらっている。
他にも食料や布もだ。
どうやって運んでるかと言うと、ガトが腕を更に4本生やして木箱を運んでる光景はすごいぞ。
前、後ろ、左右に木箱を持ってるからな。
銀貨とか入ってる木箱も軽々持ってるから、かなりの力持ちだね。
ステータスに力や魔力の項目があれば、自分の強さの目印になったんだけどなぁ。
そんな事を考えながら一部崩れた城に到着した俺達は、ベッドがある部屋を探してそこを拠点にする事にした。
今すぐ街に行きたいけど、種族特性の呪いを余裕で抑えられるようにならないと、街に行ったらとんでもない事になるからね。
のんびり訓練しながら、街に行く準備を進める事にする。
その前に、城の本を読み漁る事からだ。
皆で城の中を探索して回り、本が大量に置かれている部屋をすぐ発見。
部屋というより図書館っぽいけど、さっそく本を読もうと本棚に並んでいる本を見て俺は、基本的な事を思い出す。
「文字が読めない」
「主様、ではこのルタが教えます」
「あっ、ルタとガトなら文字が分かるのか、じゃあさっそく教えてくれるかな?」
「はいお任せ下さい」
こうして俺の、今世初めての勉強が始まる。
0歳児だからすぐ覚えられるだろう。
なんせ脳味噌が真っ新だからな!
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