第13話 闇鍋にタレをつけて。

『うーん、この大きさは入らんね。細かくするか。』

『グッサッアー!』縦に切り中の骨を取り出す。


『ほらよ、お前の好きな兄貴の足の骨。遺骨やね』


縛られたバカは、骨を見てずっと怯えている。

なぜそこにあって、そこに見える現実が怖いと。

残った肉を塩酸の胃の中に打ち込む、結構な力で。


『うわ、くっせぇな。盗んだ人の死んだ肉溶かすのってこんな感じだった?』

『.....ッ!!怖い。コイツ怖い。』

『.......感想が学の無い奴の感想だな、しょうもない』


ゴポゴポ!!と喉から煙が舞い上がる。

異臭の煙。


『さぁ!胃は耐えれるかな!?塩酸によって溶けるのは、足の肉か胃か!?』

『.........................』

『また気絶しやがった....せっかくこの体で実験できたのにな...もう時間だな。

 まぁアイツがいるから片付けは大丈夫だな。』


グン!体から空気が抜けるようにふらふらと立ちくらんだ。


『タッ....タッ....グサ!』何かを指した感覚が脳裏の世界へ誘う。


世界は土の中を登っても、登っても土がどんどん詰めてくる。

腕がもげてもずっとずっと土が被る。どうしようもなくずっと。

悪夢、それがこの世界。どうしようもない世界で小さく生きる僕。

いつになったら目が生えて外の世界に行けるんだろう。

わからない、やめる、やる理由もわからない。

あぁ、僕ってこんな世界にいたんだな。


『....ポー!!!!』汽車の汽笛が聞こえる。今日の汽笛はいつもより大きかった。


『......ああ。車内だ。』


考えていた時間がいつの間にか消えもう外にすでいた。

何かに怯えていたんだろうか。すごく二度と見たくないと何かに対して思った。

真っ黒な心情、白い景色。それはもう嫌だ。


『....俺泣いてた。のか。なんでだ。』


額から落ちる涙は手のひらに切なくさらっと落ちた。

ポツ、と手のひらに落ちた。どこか切なく、味気はもうなかった。

ただの水に近い涙。


『....ッ!!クッ!!!!!!はぁはぁ!目が!!な、ナイフが赤い!』


赤いナイフはずっと僕を反射する。

ギラギラ!と音が聞こえるかのように。

映った僕の目がジンジンと熱くなる。


『.....はぁはぁ....よし大丈夫だ』


するとあの足音が聞こえてきた。


『ガシ!ガシ!』と皮が歪む時の音。


『よう、ボウズ!さっきは悪夢だったな!!』

『久我さん!!』


今の久我さんは元気一杯だ。


『手を貸せ、これをやる。』


『スサ!』


『こ、これは銃じゃないですか!?久我さん打ってほしくないみたいな事言ってませんでした!?』


すると久我さんは少し苦笑いの顔で話す。


『いやーなんやかんや考えたけど、死んだら元も子もないなって。

 ナイフより威力が強い銃を渡そうとな。』

『そうですか...わかりました。受け取ります....あっ!銃が!え!』


『......ガチャ!!』と持っていた銃を落とし、腰にしまったナイフがその上を落ちる。


『..........!!!シャーン!!スパァ!!!』とナイフが銃を綺麗に切った。


『お、俺の銃が!!!!!!!!真っ二つに!!!!!!!!!!!!!!!!』










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渡開道エヴォリューション。 水鐘・哲華 @tatsnootosig0

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