第8話 海を超え

| あー!やばい! |


タッ!タッ!ダッ!ダッ!


| 頼むー!!うぉー!!! |


ホームから全速力で走り飛び、ギリギリ車両の手すりを掴めた。


| 危ねぇ...ヨイショと...はぁ.....ギィ.....疲れた... |


と車内に入り二人席で横になった。

タッ、タッ、タッ、タッ、と二人の男たちが顔を隠しこちらにきた。


『......すいませんが...あなたは敵じゃないですよね?』

『ボウズ、油断するんじゃねぇよ。人は常に化け物だと思った方がいいぞ』

『すいません...何を言っているのかが全くわからないです...』


『シャキーン!』バンタン姿の一人が自分にナイフを突き出す。

ナイフはなぜか少し青色だった。


『ヒィぃ!敵じゃないですから!それしまってください!!怖いです!!!』


そう言うとバンタンの男は、ナイフを閉じた。

また顔も見えた。


『いやー、ごめんね...驚かしてしまって。この汽車化け物が出るんだ。

 だから疑ったんだ。ごめんね!じゃまたね!!』

『え...?』


そう言うと二人の男たちは、車両から離れて行った。


タッ、タッ、タッ。


『...ボウズ、あれでよかったのか?まだ敵だったかもしれないのに?』

『ええ、大丈夫だと思いますよ。あの子はまだ幼いです。特に目が幼かった。』

『ふーん、そうか。ちなみになんで目が幼く見えたんだ?』

『人って嫌な事をよく見ていた人ほど、嫌な時に目が開いてるんです。

 泣く時とか、目を瞑るじゃないですか。その逆ですよ。』


『はぁ...そうですか...天才くん。』と久我さんは歩きながら、ため息をついた。


『さっさと次に備えましょう。今度も敵はわからないですからね。』

『....そうだな。天才くん。すっかり大人ズラしてな。』

『久我さんみたいな、だらしない大人にはなりたくはないですからね...』

『....!なんだと!....ッ!....まぁ多少自覚しているからなんとも言えないな...』


『ギィ...』と椅子に座る。


『...久我さん...そういえば気になってたんですけど...なんで僕に銃を打つなって

 言ったんですか?あの言葉の意味があまり分かってなくて...』

『.......オレのトラウマさ。ちょうどお前の頃ぐらいにオレは姉を殺しちまった。』


『シュ!....ボワ...』久我さんは火を起こしキセルを吸い吹かした。


『...けど、全く関係ないじゃないですか...僕が銃を打つ事は。』

『....オレは...家にあった銃で殺しちまったんだよ...』


久我さんはまだ喋る。


『軍人家系だったから、親父の持ってた銃で殺しちまったんだ。

 当時の俺は興味深いボウズみたいでな。試しで打ってみたんだ。

 けど打つ時に、前を見ていなかったのが良くなかった...』


『.......そうですか....』


『ああ、そっから人を撃つのが怖くなった。特に女はな。

 だからお前も撃って何かを殺す事にトラウマを作ってほしくない...』

『......わかりました...そう意味だったんですね。』


『うわ−!来ないでー!!』とさっきの子供が走ってこっちにきた。


『...どうしたガキ、化け物か?』

『なんかいます!なんか!なんかです!』

『じゃあ、久我さん...また行きますか?』


| もちろんだ、ボウズ!/....旅の醍醐味ですね!/な、何言ってんだこの人たち... |




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