第7話 枝割れの木

『.............?....うん........久我さん....?』

『........クソ....オレにはできねぇ!...オレのアホが!!』


声は聞こえてないようだ。

久我さん、外に向かって叫ぶ。


『.....女の人....敵な、なのか....』

『....ハ!!!ボウズ!!起きたのか!!』


久我さんは慌てて、僕の元に走る。

兄が弟を心配する様に顔を捕まれ目線を合わせられる。


『あれは、見ては駄目だ。あれはな....あれはな......ッ...』

『......火縄銃の....?....女の人ですか。』


『クッ!』と久我さんは目を閉じて横を向いた。


『...アレは...ボウズの想像に任させる。』

『..................そうですか.....悔やみます...』


ガタンゴトン、と列車が動いた。

ゆっくりと列車は加速し始めた...


『皆様〜今回死亡者は一名のお客様です〜

 本名 中村ハナ 参加理由は長男の進学するための稼ぎ。

 殺害した数は、9体。死亡理由は背後に気を配ることができず

 敵に斬り殺されました〜次は京都〜京都〜です。』


『.......スタ..パッ!パッ!』壁に寄りかかって体を起こし、埃を手で払う。


『...久我さん...お葬式を僕らだけでもやりましょう。

 僕が気絶していたのに戦ったくれた勇姿を火を教えましょう。』

『...オレは...少し椅子で休む....任せたボウズ...情けない男でよ...』

『えぇ...僕は死んだ所を見ていません...その気持ち理解できます。』


『スサ!』彼女の元まで歩き、体を持ち上げる。


『..........寝てる.....安らかに...』

『..........................................................』

『ハナさん...骨は持っていきます。必ず』


僕はハナさんを抱え、汽車の誰もいない運転の所にきた。


『やっぱり,,,無人だったな...これも魔法か...ハナさん申し訳ない...』


僕はハナさんを焚口戸に入れ、ドアを閉めた。


『バチ!バチ!ゴー!!バチ!バチ!』と扉の奥で燃える音がする。


『.......,,、、、、生きなきゃ...僕も必死に死なない様に....

 死んだ意味は存在してると思っている。僕。生きろ。』


『タッ...タッ...タッ...タッ』運転席から離れ久我さんがいる2号車に戻る。


『.........久我さんやっておきました...機関車でやる羽目になりましたが...』

『そうか...ありがとうな...ハナさんも喜んでいるよ、きっと最後を見届けてくれて』


『ドン!』床を蹴る。


『久我さん!!ここで悲しむのも大事ですが!!!僕らの旅はまだ序盤です!!!

 だから!!!必死になって!!!後ろ向かず!!!前へ歩き!!!!』


|使命と運命を壊しましょう!|


僕は久我さんに向かって伝えた。


『そうか...オレも生きているんだしな。まだ粘って生きてみるか....

 ヨシ!ボウズ!!次の京都駅で渡す物がある!お前にピッタリな物だと思う!』


『ポー!!』といつもより大きな汽笛だ。


(ありがとうね。最後の私を見届けてくれて。じゃあさようなら)


『!...久我さん!今ハナさんの声が!!』

『ああ、私にも聞こえた。ボウズ、よかったな。』


『キィ!!』と汽車が止まった。


『次発車する定刻は...2時7分です。京都です。京都です。』


『ヨシ!ボウズ!!ちょっよ待ってろよ!』

さっきとは全く違う様子でホームを走っていく。

『はぁ...面白い人だな...』

『あったぞー!ボウズー!』

とホームを出て3秒で戻ってきた。


『ほらよ。ボッス!!』

『これは...一体?...』

『学ランとバンカラだ。東京に行くぐらいならこう言う服じゃないとな!

 さっ!さっさっさささどうぞどうぞ!着替えてくださいな!』

『えっ、はい...?』


僕は久我さんに肩を捕まれ、トイレに押し込まれた。


『...よいしょ...これの服軍人みたいだな...けど少し違うな...

 なんだろう...すごく高そうだ...生地が厚いな...』


ぶつぶつと文句を言いながら着替え終え、トイレから出る。


『おー、オレには合わなかったが...ボウズには合うな...

 うーん....帝国大学の学生みたいだな!よかったな!』


久我さんは僕が学ランを着ている事に喜んでいるようだ。

(なんで僕なんかにくれたんだ?)


『なんで僕にくれたんですか?』

『オシャレで買ったんだけど、サイズが違くてね。だからこの電車に乗る子供にあげ  

 る予定だったのさ。で選ばれたのが君って言う事さ。ハハ!』

(まぁ嬉しんだけどさ、なんでこの人そんなに笑えるんだ...)


『シュー...カンカン!』と汽車が出発する。


『次も戦いますか...久我さん、ハナさんの分まで...』

『ああ!そうだな!こちとら、何回目だと思ってんだ!!やってるやるさ!!』


『シュシュ...!ポー!!』汽車が加速し、スピードをあげる。

ホームが段々と遠くなっていく...


|あっ!待ってくださーい!待ってー!!!|














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