第5話 虎と鉄砲

『...まぁいいです...ここはお互い仲良くしましょう。』

『哲夫!お前!こんな事言われて嫌じゃないのか!?』


『ゴニョゴニョ...』と囁く。


『...たぶん、この人...刺激があると騒ぐタイプなので....

 もう黙って...その場で凌ぎましょう....めんどくさい人ですよ...』

『....はは、そうだな...哲夫言う通りだな...そこは大人だな...』


|何話してんの?影口ならぶっ飛ばすわよ|


『いやー、なんでもないです。おねぇさん美人だし。

 褒めてただけですよー。』


|あら!そうなの!私ったら、そんな力があったなんて!|


またゴニョゴニョ話す。


『俺が見てきた歴代の女一位で軽いぞ...なんだこの女...

 めんどくせぇな...哲夫...』

『ええ...この人は確かに...面倒ですけど...簡単ですね...』


『じゃあ私は3号車の方にいるので!!

 いつでも話かけてもらってもいいですよー!ではまたねー』


とルンルンで3号車の方にステップしながら移動していった。


『またあったら、とりあえず褒めるだけ褒めるておくか...哲夫....』

『そうしておきましょうか。何かメリットもまたあるかもしれませんからね...』

『あ、、そういえば補給物資をまだ受け取ってないな...すぐに戻ってくる。』

『え!じゃ僕の分もお願いします!久我さん!』


『もちろんさ!はは!!』と久我さんは電車から飛び出した。


『.......ああなんて綺麗なんだろう。これが人の繁栄か...』

また窓から梅田の景色を眺める。淀川から見える街が光っている。

夜を忘れた様な街だった。


『ピチャ!キーン!』と何か冷たい物が頬に触れた。


『....!つんめった!なんですか!急に!』

『いやー、真剣に見ているガキにイタズラしたくてな!はは!』


正体は久我さんが持っていた飲み物だった。


『はぁ...本当に大人なのか....?』

『うん?今なんつった?』

『いやなんでもないです!!』


『カーン!カーン!』と鐘がなった。


『皆様〜当列車はまもなく2番乗り場から発車致します。

 行き先は、新橋です。途中停車駅は、車内でご連絡いたします。

 まもなく発車いたします。』


『おー、セカンドステージですかね?』

『いや、ボウズ...この電車は殺し合いの場なんだぜ...そんなワクワクされるとな...』

『あーそうでしたね。僕らはオモチャの様な存在という事を...』

『だから俺は、休憩時間はあんなに笑ってたんだぞ...大人になっても死ぬ時は

 誰でもこぇーよ。』


『ポー!!ガッシャ!ガッシャ!!ポー!!』汽車が動き始めた。


『気を引き締めろな。ボウズ、次の停車駅...今より長いぞ。

 だから俺のこのM1889もダメだな..好みだったが...』


『ガッチャ...!』と見たこともない銃を袋から手に取り出した。


『ドイツのはすげぇーな...モーゼルとロシアのモシンナガン...

 こいつはすげぇな...あ、お前の分もあるぞ。』


『はいよ』と久我さんから銃をもらった。


『そいつは、コルト・ベスト・ポケットだ。小さいお前でも使えると

 思うぞ...けどあくまで護身用だ。お前は基本あのナイフだな。』


『使い方とか、わからないんですけど...』


『いや、わからなくていい。お前はまだ子供だ。だからどうしてもの

 時だけは使ってもいい。あと思い出したが...お前の持っている

 ナイフはオピネルのナイフに近い何かだ。名前の件は知らないが...』

『久我さんってそんなに、武器に詳しいんですね...』

『まぁ...軍に関係していたからな。』


『ポー!』と汽車は加速する。


『さあ、次はどう来る、教会ども。』

『僕もやってやりますよ。教会。』


汽車は淀川を並行する形で進む。










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