メグの物語9

 訓練センターにいたあの頃、あたしの前には、一本の平坦なまっすぐな道があって、それをたどるだけで良かった。


 でも今は、道には上り坂、下り坂、曲がり角、別れ道もあることを知っている。誰かが隣を歩いていたり、いったん遠く離れた人とまた近くなったり、道が交差したり、一緒にひとつの同じ道を歩く人があることも。


 数日後、あたし達は、出発するふたりを宇宙港へ見送りに行った。


 船が小さくなって見えなくなっても、あたし達はしばらく展望デッキに立っていた。

「とうとう…行っちゃった」

「そうだね」

 夜の宇宙港に広がる様々なライトを見おろしながら、このままずっとそばにいたいと、あたしは思った。


 隣に立っているステフの手の中にそっと手をすべりこませると 、彼は私の手に指を絡めて引き寄せ、反対の腕で私をギュッと抱きしめた。

 どちらからというわけでもなく、あたし達は自然と唇を重ねていた。


 人と人が出会い、そこからまた新しいつながりが生まれる。

 それは運命?

 ああ違う、古い言葉ではそれを『えにし』と言ったんだっけ。

 ありがとう、リサ。

 あたしと出会ってくれて。

 あたし達をめぐりあわせてくれて。


 ——ここから、あたし達の新しい道がはじまる。

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