リサの物語8

 船は大気圏に突入した。


 片肺飛行の船は激しく揺れて、なんとか高度を保ちつつ、ようやく…抜けた!

 私は管制官に緊急着陸の誘導を要請した。


『もしかして、リサ!?』

 担当の管制官はメグだった。

『わかった。私がサポートして、一緒に必ず着陸を成功させてみせるよ。約束どおりに!』

 ここにも、私を助けてくれる人がいる…。


 宇宙港が、滑走路が、確認できたけれど、

「機首が下がりすぎだ。やり直すんだ」機長の声に、

「いえ、その余裕はありません。このまま行きます」

(あがれ、あがれぇぇぇ!)

 私は渾身の力で機体をキープしようとする。


「コントロールタワー、ファイナルアプローチ、OK?」

 機長が着陸許可を求めて、

『こちらコントロール、了解した。緊急車両を待機して待つ。無事を祈ってます。リサ、頑張って!』

 私は声も出せないくらい必死だった。

 メグはいちばん着陸しやすいルートを必ず私のために考えて、誘導ビーコンを飛ばしてくれているはず、それに機体をのせることができさえすれば!


 そして…。


「よしっ!のったぞ!!そのまま行くんだ!」

 隣りで機長の声がして——

 

 滑走路が目の前に大きく迫り、たくさんの緊急車両が待機している中で、船は少しだけオーバーランして、最後はガクッと大きく揺れ、止まった。


「止まった…」

 操縦席で肩で息をして、脱力している私に、

「まだやることがあるだろう?」

 隣で機長が痛みをこらえている様子で言った。


(そうだ。お客様の安全を…)

 私はエンジンを切って、シートベルトを外して立ち上がった。

「コクピットのあとをお願いします」

「了解した」


 幸運にも、船は火災を発生することなく、乗客の怪我の程度は軽症者が数名という結果だった。


 私達は全員、無事だった。

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