リサの物語10
詳しい事情聴取と事故調査は後日ということで、ようやく解放された私は、もう立っているのがやっとというくらい、クタクタに疲れていた。
「リサ!」
西日がまぶしい到着ロビーで、私を呼ぶその人の声を聞いた。
私を待っていてくれるただひとりの人。
逆光でその表情はわからないまま、駆け寄ってきたその人は、私の汚れた服や顔にかまわず、強く抱きしめて、
「リサ。良かった。無事で」
その声はわずかに揺れていた。
私達はそのとき互いを想う気持ちがわかったのだ。
そう、自分のことよりもずっとずっと大切に想う相手だと。
いつも遠く近く私を見守って支えてくれるその人のぬくもりに包まれて、私は思わずつぶやいた。
「大好き」
「僕もだよ」
その人がそう言うのを確かに聞いたと思った。
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