第5話アプリセンサー!?
先輩は俺を探してくれてたんだ。いつもだったら歩いてるはずの時間、道に俺の姿がない。ただそれだけの理由で。
くっそ。マジでビビった! やっぱりアプリなんて信用できねえんだよ。
あべのせいめいが感知したのは先輩だった。このアプリはぼったくりだ!
俺は先輩に事情を説明した。
ああ苦労人のスキルをとうとうお前は所得してしまったのだなとかなんとか言われながら、俺と先輩はコンビニへ急いだ。周りはもう真っ暗で、施設のきらびやかな照明もすぐに消える。噂が嘘でも本当でも早く戻るべきだった。
コンビニへは俺だけが入った。入り口で先輩は用事があるからって別れた。ちゃんとアプリつけとけよなんて言ってな。
先輩に反応したあべのせいめいなんて俺はもう信用しませぇ~ん。スマホをささっと操作してバイブもオフにした。そういう裏技を俺はとっくに見つけてたんだ。けどあの先輩を思い出すとアプリ自体を消すことはできなかった。
だから、もし何か感知してももうスマホはふるえない。ランプがチカチカ光るだけ。そうなるように俺はした。
コンビニのドアが開いた時、入店音に混じって鈴がちりんと鳴った。
気のせいだよ。気のせいだ。
上司からもらった臨時小遣いで食料を買った。パン、カップ麺、スナック菓子、飲み物、ついでに期間限定のデザートも。買いすぎか? いや、費用は上司持ちだしもっと買おうか?
俺は満腹になったレジ袋を持ってドアを潜った。
ドアが開いても閉じても、鈴の音は聞こえてこない。
俺の頭はどうやって暇な時間を過ごそうかで一杯だった。もしかしたら鳴ってたのかもしれない。鳴ってなかったのかもしれない。
胡散臭いアプリとただぶら下がってる鈴に何の違いがあるっていうんだ。聞こえてないならそこには何もいない。いないんだよ。いないはずなんだって。
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