第33話 脱落者達
先日、アイドルのオーディション合宿を終えた
アイドル育成事務所『
家に帰り、松江からもらった手紙を開ける。
数日前『絶対人間アイドール -DO OR DO-』の第二期生オーディションが開催されていた。
アイドルを目指す多くの人が志願し、40名程の候補生達が集められたこの合宿では、二週間ほどの審査を経て第二期生が決定したところだった。
合格した5名のメンバーがいたこととは裏腹に、惜しくも審査で失格となった候補生達もいた。
高戸もその一人だった。
10人の中から5人を決めた最終審査で落ちてしまった高戸に渡された手紙。
その内容とは。
「…えっ」
DOD第二期生オーディションが終了して一ヶ月が経とうとしていた。
手紙には指定された日時と場所、持ち物が記載されてはいるものの、概要は全くと言っていいほど不明瞭であった。
住所はというと大都会
「うーん。ここで間違いない」
目的地であるビルの一室にたどり着くと、そこには見覚えのある文字が並んでいた。
「REVEROF…」
アイドル育成事務所の名前だった。
インターホンを鳴らすと一人の人間が出迎えた。
DODプロデューサー
「あ、えっと…」
「久しぶり高戸さん。河岸です」
「お久しぶりです。…あの、どうしてここに?」
「すぐにわかるよ」
部屋に案内されると、見知ったメンツが揃っていた。
「えっ⁉︎どうして皆さんここに⁉︎」
そう。ここにはDOD第二期生オーディションの最終選考で惜しくも脱落した4人のメンバーが待っていた。
「遅いよ高戸」
「萌楠さん…!」
「びっくりしまたよ〜!みんなも呼ばれてたなんて」
「な。詳しいことなんてなにも書いてなかったのに」
「朝妃さん、律伽さん…!」
「あおちゃん〜!元気しとったかね?」
「兎架さん…!」
鎗目萌楠(17)
DODリーダーのETSUにガチ恋激重女。最年少だがこの中で身長が一番高い。
毒舌でコミュニケーションを図るのが下手だが意外と素直な面も。赤茶のマッシュヘアーに死んだような目をしている。
袖山朝妃(20)
明るく元気で天真爛漫という言葉がよく似合う。幼く見えるが意外と年齢は行っている。
アイドルに憧れを持ち、持ち前の行動力で多くのオーディションに応募してきた。明るい茶髪に八重歯がトレードマーク。
菊月律伽(18)
誰とでも仲良くなれる気さくさが売り。元々は歌が好きで、アイドルにはそこまで興味はなかったがDODのロック感に感銘を受ける。茶髪にショートカットでボーイッシュな風貌。
真喜屋兎架(20)
田舎から出てきた芋女子。一度話し出すと止まらない上に喋り口調も特殊で少し浮いているが、実はオーディションで一番歌が上手いのではと話題になった。焦茶のセミロングで常にヘラヘラしている。
高戸碧七(18)
礼儀正しく真面目で、オーディションの時にもメンバーからの信頼が厚かった。
先に準備も済んでおり、河岸がスムーズに進行を始める。
「さて、全員揃ったし、話を進めようか」
「プロデューサーさんはいないんですか?」
「うん。忙しくて来れなくなっちゃったんだ。だから僕が進行するよ」
「進行って…一体何を」
手紙には何も記されておらず、誰も概要を理解していない。
河岸がコホンと咳払いをする。
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