第31話 DO OR DO 第二期メンバー

【合宿十四日目】


 最終日。

 10時頃にホールに招集がかかった。

 結果発表の時間だ。


 鮫山さめやまはいつもと変わらない表情で座っている。


「おはよう。よく眠れたか?」


 いつも通りに眠れた候補生は一人だっていたのだろうか。

 ただの挨拶だったようで、すぐに中継カメラの方へと向かった。


「絶対人間 I DOLL -DO OR DO-。第二期生、合宿オーディション最終選考。結果を発表する」


 昨日候補生達はどんな結果であれ受け止めると話していたが、いざ発表を前にすると緊張がピークに達した。


「呼ばれたら返事をしてその場で立て」


「合格者………」





本明ほんみょうあめ


「えっ、う、ウソ…ッ⁉︎は、はいっ‼︎」


八ツ波やつなみ希野きの


「ふふん。はい!」


俵田たわらだ彩世いろせ


「はぁい」


島仲しまなか悦叶えっか


「はい」


百百塚ももづかすず


「はいっ!」


「以上をDO OR DO第二期メンバーとする」


 呼ばれなかったメンバーは俯いて残念そうにしていたが、呼ばれたメンバーもどこか飲み込みきれない現状に誰も声を上げない。


 ここで鮫山が締めの挨拶をしてライブ中継を終了し、全てが終わったかに思えた。


「よし、ひと段落だな」


 残された5人の候補生達に向き直し、鮫山が言った。


「お前ら、悔しいか?」


 そんなこと聞かなくてもわかるほどに、5人は落ち込んでいた。

 DOD第二期生になった5人でさえも居た堪れない気持ちだ。


「お前らはよく頑張った。それはリスナーも俺らも、第二期生のコイツらもよくわかってる」


 今更そんな言葉を貰ったって、DODにはなれない。


 DODの第二期生だけを残され、残りの候補生達はこれを以て解散となった。

 こうして合宿は終わり、すぐにでもグループでの特訓が始まることだろう。






 帰りの送迎バスにて残された5人を送っているのは審査員の松江まつえだ。

 皆一対一で話したことはなかった。


「お前ら、悔しいな」


 松江の一声に袖山がすぐ涙ぐむ。


「ぐやじいです…」

「わかるさ。お前らの気持ち」

「「……」」


 解散する駅に辿り着き、松江が5人に声をかけた。


「お前ら」

「「?」」

「これを帰ってから、いや帰り道でもいい、開けて中身を見ろ」


 そう言って一人一枚ずつ封筒を渡した。

 高戸が問う。


「これはなんですか?」

「説明はいらん。さっき言った通りだ。じゃあ元気でな」


 そう言ってあっという間に車に乗り込み去っていく松江。

 5人はポツンと取り残された。


「なんだったんでしょう…」

「今見ちゃう?」

「…うーん」


 各々帰ってから見るようにして、その場は解散した。

 合宿で深めた友情を無駄にしたくなかったから、全員は連絡先を交換した。

 またいつかのために。

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