第24話 💚緑部屋 -後-

「1、2、3、4!2、2、3、4!兎架っち遅れてるよー!」


 百百塚が手拍子をして3人の合わせを見ていた。

 真喜屋はぜえぜえ言いながらへたりついた。


「ひぇ〜ちょっとタンマ!ふひぃ…2人ともすごいなぁ、そんなに踊る体力残らんよ…」


 袖山も元気いっぱいに真喜屋を鼓舞する。


「ダメだよ兎架ちゃん!そんなんじゃDODになれないよっ!1!2!3!はいっ!」

「ひ〜〜許して〜」



 バテた真喜屋が休んで呼吸を整える。


「はぁっ…ふぃ〜…みんなDODに入りたいんやねぇ」


 そんな質問に百百塚は不思議がる。


「え?兎架っちは入りたくないの?」

「んーん。入りたいんやけど、不安なんよね。私やっていけるかなって」

「でもやりたいから応募したんでしょ?」

「そうなんやけど、みんなの熱意がすごくて負けてしまうわぁ」

「兎架っち!それじゃダメ!自分が一番って思わないとやっていけないよ」


 真喜屋は少し自信なさげに萎縮する。


「んん〜わかってはいるんやけど…」


 それにフォローを入れるように俵田が言う。


「兎架ちゃんは自信がないのね。でも、鈴ちゃんが言ったように加入した後のこと考えたら、ちょっと楽しみじゃない?私は…DODに入ってこうなりたいっていうのはあんまりなかったけど、目標をみんなで立てたら楽しいかもしれないわ」


 それに乗じて袖山が夢を語る。


「目標!いいですね!私は武道館!」

「おいおいいきなりデカい目標」

「夢はでっかく!兎架ちゃんも一緒に、ね?」


 みんなが気持ちを奮い立たせてくれて、真喜屋も元気を取り戻す。


「一緒に………そうやね。やる気出てきたわ!ありがとうみんな、優しいなぁ」


 そんな姿を見て百百塚は笑顔で意気込みを発表する。


「ここにいる全員は合格しないけど、高め合っていったらきっとこれだけでも良い経験になる!だからウチは全力でやる!」

「そうね。私も頑張って二期生になるわ♪」


 全員が夢を持って挑むこの時間はとても意義のあるものとなる。

 いつか。そう言えば叶うと候補生達は信じることにした。




 今日は赤部屋と合同練習をすることが出来た。

 今日まで二人で練習してきた袖山と俵田はその楽しさに再びモチベーションをもらった。

 こんな時間がずっと続くのならそれも良いのだろうが、これは結果を出して誰かを落とさなくてはならない戦場のような合宿。

 だから誰よりも良いパフォーマンスをする為に他人から盗むことも大切な要素となる。


「明日もどこかと合同練習しましょうか」

「そうですね!明日こそはETSUさんのいる白部屋ですかね?」

「それもいいわね。ETSUさんとは練習したいものね」

「せっかくプロデューサーさんも直々に来てくれて、ETSUさんも参加してくれて、この合宿、こんな贅沢なことないですよね」

「その通りよ朝妃ちゃん。この時間無駄にしないように、明日もたくさん学びましょう」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る