第21話 🤎茶部屋 -前-
【合宿七日目】
今日は茶部屋の2人にフォーカスを当ててみる。
八ツ波が起き上がり大あくびをかます。
鎗目は化粧をしているようだ。
「ふあああぁぁぁ」
「……」
じっと鎗目を眺め、渋々挨拶をする。
「…おはよ」
「……」
しかし彼女は顔だけ見て一言。
「ブス」
「は⁉︎」
鎗目もまた、
そんなETSUに失礼な言動を繰り返し、挙句の果てにはダンスバトルを申し込む生意気さに憤りを感じていたのだ。
「顔ブス、性格ブス、
「あんねぇ…一応こっちは同じ部屋だからって仲良くしてやろうとしてんのわかんないかな」
「私は求めてない」
「あっそ!」
化粧を終えた鎗目が練習のためホールへと向かおうと立ち上がる。
こちらに興味を示さない鎗目に一矢報いるように言葉を吐きつける。
「そんなにETSUのこと好きなんだったら自分も声かければいいじゃん!あっ、それともダンスバトルしたのが羨ましかったんだ?っていうかETSUに声かける時点で無理か!まともに会話もできないクソ陰キャだもんね〜」
鎗目の体がピクっと反応し、恐ろしい形相でこちらを睨む。
「私は…」
「な、なによ」
その顔が次第にニヤけ顔に変わっていく。
「え…悦叶様と、お風呂入ったんだから…!」
「…はい?」
しばらくその状態で硬直する。
次に口を開いたのは八ツ波だった。
「………だから?」
鎗目は八ツ波に近づき…平手打ちをした。
「いったぁ⁉︎」
「死ね!クソガキ死ね‼︎」
「殴るのはナシでしょ⁉︎」
「うるさい!死ね!」
「死ねしかボキャブラリーないんか!」
「ブス!死ね!」
「あーはいはいわかったから早く行ってようるさいな〜」
「くっ………ふんっ」
鎗目は分かりやすく怒り、その場を立ち去った。
「あー痛い。何怒ってんのよ…」
八ツ波も練習するためにホールに向かう準備をした。
…
八ツ波はめげずに鎗目に声をかける。
「おーい」
「来るなブス」
「なんで私この合宿来てガキとかブスとか言われなきゃいけないわけ?もうしょーもないからやめようよ。一緒に練習しよ?」
「嫌だ」
「はー…じゃ、ETSUと練習してこようかなー」
「…⁉︎」
八ツ波がETSUの名前を呼ぼうとする。
「おーい、えつ…」
その刹那、今まで聞いたことも無いような大音量で鎗目が八ツ波を止めた。
「 待 っ て ‼︎ ‼︎ 」
「えっ、嘘、声デカ。ビビった」
「私とダンスバトルしろ」
「はあ」
「私が勝ったら、私がETSUさんと練習」
「いや別にETSUと練習したいなら今してくれば…」
「お前が!ETSUさんに!お願いするの」
「はあ?」
「お前が!負けたら!私と!ETSUさんが!練習できるようにお願いするの!」
「…しょーもな」
鎗目は無理やり音楽を流し強引にダンスバトルを始めようとする。
「…本当にやるの?」
「やる」
「しょうがないなあ」
八ツ波は了承し、ダンスバトルに受けて立った。
こんな形でも同部屋の候補生と練習できることに、ちょっと楽しさを覚えながら。
「やるからには負けないからね」
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