第16話 最終選考スタート

 ついに点数を付け終えた審査員が再びホールに候補生を集めた。


「発表だ」


 残酷な合否発表に候補生達は身構える。


「呼ばれたらその場で立て」


 結果の書かれた画面を眺め、鮫山さめやまが読み上げる。


グループ①、島仲悦叶しまなかえっか百百塚鈴ももづかすず


グループ②、高戸碧七たかとあおいな鎗目萌楠やりのめもなん


グループ③、真喜屋兎架まきやうか菊月律伽きくづきりっか


グループ④、八ツ波希野やつなみきの俵田彩世たわらだいろせ


グループ⑤、本明雨ほんみょうあめ袖山朝妃そでやまあさひ

以上」


 呼ばれなかった半数のメンバーは即帰宅処分となった。

 合宿が始まり、たったの5日しか経ってないが早くも候補生は当時の25%しか残っていない。

 だがプロデューサー鮫山は本気の審査をしている。

 確実にDODを大きくするために選定した10名。

 審査の方法も今一度、考えなくてはならない。



 脱落した候補生達は松江まつえの車で送られ消えて行った。

 その間、鮫山と河岸が残った候補生達のオーディションを続ける。


「まずはおめでとう。とても良いパフォーマンスだった。この中からDODのメンバーを決めるわけだが…」


 候補生達は息を呑む。


「正直、ここのメンバーの誰かを落とすのは、惜しい。それくらいお前らは個性的で、輝いている」


 鮫山はまだ決まりきっていないような様子で話を続ける。


「だが俺は、やっぱりバシバシ争ってもらうのが好きだ。最終審査になるが、1vs1のガチンコ対決を見たい」

「となると、勝った5人が合格ですか?」

「そうだな。今のは思いつきだが、これしかないんじゃないか?」

「プロデューサーが言うなら誰も止めんでしょう!」

「よし、決まりだ。ちょっと待ってろ」


 そう言うと鮫山は一度どこかへ行き、一つの大きな箱を持ってきた。


「この中に10個の玉が入っている。色は5色。つまり、同じ色の玉を引いた者同士の勝負だ。わかりやすくていいだろう」


 合格者は5人。1vs1のガチンコ勝負。

 選考方法は先日ETSUと八ツ波がやったようにパフォーマンス対決という形式となった。


「異論なければもう始めるぞ」


 八ツ波が挙手し意見する。


「はい」

「八ツ波。なんだ?」

「もしETSUと当たってETSUに勝ったら、私がリーダーでいいですか?」


 自信満々に問いかける八ツ波。

 ETSUも良い気分ではない。


「君が僕に?無理でしょ」

「決めるのは審査員の方々だからね!ETSUの意見なんて聞いてないよ〜ん」

「クソうざ」


 そんな二人の様子を観察し、鮫山は笑う。


「ふっ…まあ当たったらいいんじゃないか?ただ…」


 数秒溜めて、不穏な空気を醸し出す。


「ETSUに勝てればいいな」


 鮫山は何ヶ月とETSUを見てきた。

 そのポテンシャルはとても高く、やはり到底普通の人には越えられない何かを持っている。

 ETSUと当たる人物は、不幸だろうか。


「勝てますよ。余裕♪」


 すると河岸が突然スタンドカメラを用意し始めた。

 急な出来事に、本明がオドオドしかながら問いかけた。

 河岸の代わりに鮫山が説明する。


「あ、あの…それは…?」

「今からライブ中継をする」

「「えっ」」

「お前ら候補生の練習風景、そして最終選考はリスナーに公開する。最終的に決定するのは俺達審査員だがファンの声も取り入れようと思っている」


 言葉の通りだが、まさかリスナーに見られながらの選考になるとは誰も予想出来なかった。

 どうやらドキュメンタリーでも作ろうかという話になっていたそうな。

 そんな話を聞き、また一段と緊張感が増す。


 そして間もなく鮫山がカメラの前で喋り出す。


「こんにちは。REVEROFリバロブ代表の鮫山です。ただいま絶対人間 I DOOL -DO OR DO-第二期生選考オーディションの5日目となっております。40名いた候補生も只今9名+アルファとなっており、早くも最終選考が始まろうとしています。今日から9日間彼女達の練習風景をそのままお届けします」


 候補生達は困惑するも鮫山の命じるままに自己紹介と意気込みを発表させられた。

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