第114話 都に対する強烈なトラウマ

 みずほは調子を崩したのか、学校を休んでいた。


 彼女は体を犠牲にして、距離を詰めようとしていた。覚悟という点においては、千鶴を凌駕している。交際できるのかわからない状態で、あそこまでできる女性はなかなかいない。


 相性を取るべきか、覚悟を取るべきか。そんなことを考えているときに、ホラー映画を見せた女性がやってきた。


「勝君、おはよう・・・・・・」


 都の姿をとらえただけで、体はぶるぶると震えた。若葉と過ごしていたときですら、見られなかった反応である。壮絶なホラー映画を見せられたことは、脳に計り知れない恐怖を植えつけた。


「都さん、おはよう・・・・・・」 


 挨拶をしただけで、気絶寸前まで追い詰められている。やり取りをしようものなら、再起不能になりかねない。


 都は頭を下げる。


「前回はごめんなさい。水族館などにしておけばよかった」


 頭を下げた女性に、率直な心境を打ち明ける。


「都さんに悪いけど、今後の関係は無理だから。あんな映像を見せる人とは、交友関係すら築けない」


 映画の残像が脳裏によみがえった直後、教室内で気絶してしまった。目を開けるまで、何をされていたのかはわからなかった。

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