第113話 愛にデートに誘われる

 愛と二人で、カレーライスを食べていた。


 カレーライスを作ったのは勝。料理スキルの上達、デパートリーを増やすために、カレー作りに挑戦する。


「勝ちゃん、料理の腕は上達したね」

 

 カレーを一口食べてみる。ルーを入れすぎたのか、固さを感じられた。


「今日のカレーは固すぎる。ルーが多すぎたみたいだ」


 火は通っているものの、肉、野菜のサイズはあまりにもバラバラ。包丁の練習をもっとして、サイズを均一化できるようになりたい。


 カレーの辛みを水で中和しようとしていると、愛の口から予想外の言葉が飛び出した。

 

「勝ちゃん、デートしてみようよ」


 従姉からデートに誘われ、口に含んでいた水を吐き出す。


「愛ちゃんとデートをするの?」


「そうだよ。二人で遊びに行ってみたいな」


 心の中の気持ちを整理したあと、愛に率直な思いを伝える。


「ごめん・・・・・・。愛ちゃんを恋愛対象とみなすのはハードルが高すぎる」


 愛はあくまで従姉。どんなに時間がたっても、永久的に変わらない価値観だ。


「正直に答えてくれてありがとう。おかげで吹っ切れることができそうだよ」


 愛は平静を装っているけど、目は明らかに泳いでいた。ショックは相当なものであると推測される。


「勝ちゃんは、おつきあいしたい女の子はいるの?」


「100パーセントとはいかないけど、確信に近いものは持っている。今度のデートのときに、思いを伝えるかもしれない」


 90までは固めているけど、10については未知数。だいどんでんがえしが起こる確率は、0とは言い切れない。


「そっか。いい人と結ばれるといいね」


「ああ・・・・・・」


 千鶴と交際をスタートさせたら、若葉よりもさらに悪い女だった。そうなったとき、恋愛に対するモチベは完全に消滅する。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る