第67話 六股男から電話(若葉編)
孤独感に包まれていると、スマホから着信音が流れる。誰なのかを確認することなく、電話を取った。
「若葉、元気にしているか」
声の主を知ったことで、元々から低いテンションはさらに低くなった。
ありったけの憎しみを込めて、六股男に対応する。
「六股男さん、どうかしたの?」
六人の女と同時に交際し、女に強烈なトラウマを植え付けたクソムシ男。こいつは地上に生きているだけで、あらゆる生命に害を及ぼす。自殺することだけが、唯一のお詫びになりうる。
「若葉の声が聞きたくなって・・・・・・」
孤独を解消するためとはいえ、こいつとかかわるのは避けたいところ。
「キモ、ウザ、ゲス、ウジムシ男・・・・・・」
電話の向こうから、苦笑いが聞こえる。
「元カレに対して、ひどい言い方だな」
「これでも足りないくらいだけど・・・・・・」
こいつになら、〇す、〇ねくらいのことはいっても許されるはず。六股をかけるのは、非道を通り越している。
「六股のことをまだ根に持っているのか。過去のことは水に流して、未来だけを考えて生きていこうぜ・・・・・・」
過去のことを忘れろか。六股をかけた側は、罪の意識はまったくないらしい。
「若葉、これから会いたいんだけど・・・・・・」
「あんた、自分の立場をわきまえなさい。浮気した男なんかと、会いたいなんて思わないから」
引っ越しの唯一のメリットは、六股男と会わなくてすむこと。あいつと遠ざけたことだけは、感謝してやってもいい。
「六股の評判が広まって、女からはすぐに逃げられるんだ。性欲を満たすために、〇○○してくれよ」
気色悪すぎる声を聞き、スマホを地面にたたきつける。
「ふざけんなよ。誰があんたなんかと、〇○○するもんですか」
冬樹の変人ぶりを、凌駕するウジムシ男。こいつよりも上は、地球上に恐らく存在しない。
スマホを拾い上げると、すぐに電源を切った。あいつとかかわりを持つと、運気はすべて逃げていきかねない。縁を完全に切って、疫病神を退治しよう。
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