第68話 お金を楽して集めたい(若葉編)

 家賃、光熱費、水道代、電気代の支払い期限が迫っている。一つでも滞納しようものなら、のちのちに災いをもたらす。


 しもべからお金を徴収するプランは、すでに破綻。十分すぎるお金を持っている、大人たちから徴収するのも無理。危機を脱却するのは、困難な状況となった。


 お金を素早く入手するためには、強盗をするのが手っ取り早い。他人からお金を奪うことで、金欠から解放される。

 

 若葉は首を横にぶるぶるとふった。強盗をすれば、刑務所暮らしが確定する。お風呂も自由に入れず、まずいご飯を食べさせられるのは嫌だ。刑務所という場所は、人間を人間として扱おうとしない。


 ギャンブルで儲けるのはどうか。抜群の運、直観力によって、未来の道を切り開いていく。一流ギャンブラーになれば、労働しなくてもお金を得られる。


 ギャンブルで検索すると、18歳未満はNGとなっている。年齢で権利を奪うなんて、あるまじき行為。法律を今すぐに改正して、生まれた瞬間から賭け事をできる国に変わっていくべき。


 貧しい女子高生を装って、寄付を集めるのはどうか。ぼろぼろの服を着用しておけば、リアリティーが増してお金をもらえるようになるはず。集めたお金については、

私生活の肥やしにすればいい。


 勝の父の弱点をつかんで、ゆするのも選択肢に入る。弱みを握ってしまえば、キャッシュカードさながらに扱える。


 どんなにお金が苦しくても、労働で稼ぐなんてありえない。楽な方法を使って、お金を集めてみせるぞ。


 お金集めの方法を考えていたら、おなかがぎゅるるとなった。最近はいいものを食べられておらず、栄養価は完全不足中だ。


 財布の中を確認すると、五千円札一枚が入っている。残されたお金を使って、ハンバーガーを食べようかなと思った。炭水化物の塊ゆえ、おなかを十分すぎるほど満たせるはず。


 0円になっても、どうにかやっていけるはず。楽観的思考に基づいて、すぐさまハンバーガーショップへと向かった。

 

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