第62話 薄情すぎる大人ども(若葉編)

 現役女子高校生が金欠で困っているのに、手を差し伸べようとしない大人ども。新しい家を追い出されたら、どうやって責任を取ってくれるのか。


 高校生に働けといえるのは、魂に悪魔を売った証。あいつに流れている血は、どろどろに腐りきっている。すべてを新しい血と入れ替え、天使の心を持たねばなるまい。


 死神にスマホを渡した、母も絶対に許すまじ。余計なことをしなければ、説教をされずにすんだ。娘に対する不敬罪として、慰謝料を請求しよう。

 

 不満ごとばかり考えていても、お金はわいてくるわけではない。今月を乗り切るために、必要なお金を計算する。


 絶対に必要となるのは、家賃、光熱費、水道代、ガス代だ。家賃は2万円で、光熱費、水道代、ガス代はそれぞれ4000~5000円くらいか。合計すると、35000円以上は必要だ。 


 その他で必要な経費は食費。こちらについては、買いだめしておいた米で乗り切ればいい。絶対に必要になると思って、30キロほど買いだめした。女性一人なので、なくなることはまずないと思われる。

 

 他に残っている食材は、卵と調味料のみ。来月の振り込み日まで、貧相なご飯を余儀なくされる。楽しみであるはずの食事は、地獄さながらである。


 未来について考えていると、空気を一ミリも読めない男から連絡を受ける。こいつのタイミングの悪さは、修正するのは無理だ。


「神様、ご機嫌・・・・・・」


「今はそれどころじゃないの・・・・・・」


 一方的に電話を切ったあと、スマホの電源をオフに変更。着信を完全に断ち切ることで、メンタルの安定を図ろうとした。

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