第43話 実父からの電話(若葉編)
父に1億以上の借金があるなんて。同じ場所で過ごせば、さらなる地獄を味わうことになる。
父は意図的に、借金のことを隠していたはず。血のつながった親といえど、信用してはいけないのを勉強させられた。
未来について考えていると、スマホの着信音が鳴った。連絡先は父となっていた。
電話を取ったあと、父にすぐに質問する。借金の事実だけはどうしても、聞いておかねばならなかった。
「とうさん、1億以上の借金をしているのは本当なの?」
父はすぐに否定しなかった。勝の父の証言は事実であることが、立証された瞬間である。
「借金のことをどうして隠していたの。私をさらなるどん底に叩き落そうとするつもりだったの」
「そ、そんなことはない・・・・・・」
父の家の扉がどんどんと叩かれる。顔を見ていなくても、借金の取り立てであるという検討はつく。
「おとうさん、借金を払ってくださいよ。さもないと、口座を凍結しますからね」
「そうですよ。すぐにかえしてください」
「お金を返してくれるまで、ここに居座り続けますからね」
離婚をしてから、多額の借金を抱える。独身になった父は、リミッターが完全に崩壊している。
「取り立てに追われる日々なんて、絶対に嫌だからね。とうさんがした借金は、自分でけりをつけるようにしてね」
「若葉、話を聞いてくれ・・・・・・」
通話を一方的に切ったあと、着信拒否設定にする。酒、ギャンブルに溺れて、借金をするような父とは顔も合わせるなんて御免だ。
父は借金地獄で、母は入院生活。身内はどうして、こんなにもふがいない大人ばかりなのか。もっといい人間に恵まれていたら、楽に生活できたのに。親ガチャに恵まれなかったことで、人生はどん底へと落ちていくのは不平等だ。
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