第53話 他の女性にも告白される
若葉はあと数日で家を出ていく。ちょっとの我慢をすれば、元の平和な生活を取り戻せる。
勝の席のすぐそばに、前地下千鶴がやってきた。3人のラブレターには、含まれていなかった女の子である。
千鶴の顔の第一印象は、Hな本で大好きな女の子にそっくり。スタイルは若干異なるけど、ストライクゾーンに入っている。
「勝君のことが大好きです。おつきあいしていただけないでしょうか?」
見た目はストライクだとしても、中身はクソボールはありえる。相手をよく知らないうちは、交際するのを避けたほうが無難。
「ごめん、そんな気にはなれない」
千鶴はふぅーと息を吐いた。
「過去の失敗を引きずっているようなら、彼女は一生できないままだよ。あなたはそれでいいと思っているの?」
主張したいことはきっちりと主張できる。そのことについては、ちょっぴり羨ましいと思えた。
「相手のこともよくわからないのに、交際しようとは思わないよ。相性などを見極めてから、おつきあいを始めたい」
千鶴は下唇をなめる。
「そういうやり方もいいと思うけど、勢いで付き合うのもありだと思っているの。相手の嫌なところを知らないからこそ、うまくいくってこともあるから」
若葉と交際していたときに、勝の脳裏をよぎっていた思考法。結果は大失敗に終わり、心に深い傷を残した。
「千鶴さんは交際したことはないの?」
「一度だけあるよ。3日くらいで生理的に受け付けなくなって、すぐに破局したけど・・・・・・」
交際相手のひどさは、若葉と似たり寄ったりというところか。良い相手を見つけるのは、至難の業なのかな。
「一度目は大失敗だったけど、これくらいではめげたりはしない。失敗を重ねるからこそ、わかってくることもあるから」
失敗したものだからこそ、力強いものが伝わってくる。一度も失敗していない女性なら、そんなふうには思えなかった。
千鶴の言葉を聞き、0.1パーセント未満の恋愛確率は、3パーセントくらいまでアップ。もしかしたらだけど、高校卒業までに誰かとお付き合いをしているかもしれない。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます