第48話 父が逮捕!!(若葉編)
路頭生活、ストーカーと同じ部屋で生活する。どちらの選択肢も、悪夢そのものである。
一人で悩んでいる女のところに、冷血人間が近づいてくる。恐怖心からか、体から冷や汗が流れていた。
「息子を追い出し、家を占領しようとした女に情状酌量の余地はない。次の土曜日までに荷物をまとめておけ・・・・・・」
勝を追い出す意思はなかった。そのことを伝えたとしても、冷血人間はそのようには判断しない。
「次の土曜日・・・・・・」
勝の父は耳たぶに触れた。
「そうだ。それまでに新しい家を探しておく。引っ越しの準備を終えて、この家から消えろ」
血のつながっていない娘は、いとも簡単に捨てられる。子供にとって、再婚は地獄行の列車さながらだ。
「君のおかあさんについては、しっかりと面倒を見るから。自分のことだけを考えて生きていけばいい」
現役女子高生にできることは限られている。勝の父の発言は、実質的な死刑宣告である。
スマホの着信音が鳴った。設定している音と異なるので、自分のではないことはすぐに分かった。
「もしもし、どうした?」
荒い口調からして、取引関係の人間ではなさそうだ。
勝の父は、「うん」、「うん」といいながら、何度も頷いていた。
「わかった。情報をありがとう」
勝の父は電話を切った。
「君のおとうさんは、警察に捕まった。キャバクラの豪遊費の300万円を、支払わなかったことによる詐欺罪と聞いている」
借金をしてもなお、300万円のキャバクラに足を運ぶ。あとのことはどうなってもいいから、今だけを楽しむタイプだ。
「余罪は他にもあると思われる。5年から10年くらいは、刑務所ぐらいになるはずだ。君とて、無傷ではいられない。おとうさんが逮捕された以上、遠くに引っ越すべきだ。犯罪者の娘といわれる続けるのは、肩身が狭いだろう」
浮気したことで、クラスメイトから腫れ者扱いされている。父の逮捕となると、さらに立場は悪くなる。暗黙の了解によって、社会から消されるのを想定する必要がある。
「そ、そうですね」
うまくいかないときは、すべての歯車が狂っている。正常な状態に戻すために、どうすればいいのか。高校生の知恵では、思い浮かびそうになかった。
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