第25話  冬樹の思考回路 

「冬樹は若葉のどこを気に入っているんだ」


 若葉の質問をした直後、冬樹の瞳はキラキラとなった。


「挑発的な目がまずいい。女はあれくらい刺々しくなければ、物足りないと思うんだ」


 冬樹はいつにもなく興奮している。好きな女を想像するときは、テンション爆上がりタイプなのかなと思った。


 あいつの目を見る機会は多くないけど、そのような目をしていることが多い。他人と友好的になるのではなく、喧嘩を売るためにああしている。


 冬樹はさらに続ける。


「口調の荒さもすごくいい。おとなしい話し方では、心を満たされることはないんだ」


 あいつの話し方は常に、刺々しいものとなっている。語尾は女だけど、それ以外については完全に男だ。


「竹を割ったような性格も素晴らしい。さばっとした女を好みとしているんだ」


 冬樹はさらに続ける。


「わがままなのもさらにいい。あれくらいのふてぶてしさがあってこそ、女の魅力は引き立つ」


 二股をかける女は、冬樹にとって理想そのもの。100点満点中、100点以上を叩き出している。


 冬樹のトークは止まらなかった。


「あいつに一生を捧げたい。それさえ叶えば、他に望むものは何もない」


 宗教を信仰している信者レベルの溺愛。どんなことがあったとしても、こいつだけはずっと傍に居続ける。若葉も好きになれば、安定した家庭を築けるだろう。


「今はダメだとしても、一年後は分からない。悲願達成するまで、10回、20回であっても、アピールを続けるぞ」


 10回、20回もアピールする。完全に接近禁止令レベルだ。


「まあ、頑張ってくれ」 


 若葉を好きになる男は皆無。ライバル0の状態で、恋愛を楽しむことができるのは最大のメリットといえる。


 冬樹は一直線に、若葉のところに近づいていく。どんなに嫌われても、接近するのはそっくりである。


 若葉は感づいたのか、教室から一時的にいなくなった。うざい女を視界から消せたことで、心が休まるのを感じた。



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