第26話 クラスメイトに同居がバレた(若葉編)

 二人の女がこちらにやってくる。普段は避けているだけに、腹黒い計算をしているのは容易に想像がつく。


「若葉、勝君と一緒に生活しているの?」


 同居を隠すのは難しい。素直に話すことにした。


「うん。ことのなりゆきで・・・・・・」


 纏は鼻を啜った。


「浮気で裏切った男と、同じ屋根の下で生活させる。運命の神様もこじゃれたことをするね」


 母親の再婚相手の子供を知ったとき、運命力は確かに存在すると思った。それ以外では、同じ部屋で生活することの説明は難しい。


 女たちは手紙のようなものを、こちらに向けてきた。


「勝君にラブレターを渡してよ」


「私のラブレターもお願い」


 影の薄い男なのに、女たちから相当の人気を誇るのか。ライバルの多さに、大いなる戸惑いを感じる。


「ラブレターを受け取っても、困惑するだけだと思うんだけど・・・・・・」


 女の子たちは不服そうな表情を見せる。


「他の男に乗り換えた女に、拒否権があると思っているの」


「ストーカー呼ばわりした女として、これくらいの罪滅ぼしをしなさいよ」


「そうだよ。史上最低女と交際したことで、覇気を失っているでしょう。私が英気を養ってあげる」


 二股をかけた挙句、ストーカー呼ばわりした評判は高校になっても健在。大きな罪は一度であっても、消すのは不可能だ。


 三人のいるところに、白筋都がやってきた。


「勝君と一緒に生活しているみたいだね。私のラブレターを渡してほしいんだけど・・・・・・」


 恋のライバルは少なく見積もっても、三人以上はいることになる。高い倍率を勝ち抜いて、彼女になることはできるのだろうか。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る