第27話 若葉から告白される
漫画を読んでいると、部屋をノックされる音がする。
部屋を開けると、浮気女が立っていた。
「若葉、急用があるのか。用事がないなら、こちらには一切かかわるな」
隣に存在するだけで、メガトン級のストレスがかかる。
「私ともう一度やり直しませんか?」
若葉の発言を聞いて、顎は割れんばかりに開いた。
「それってどういうこと・・・・・・」
若葉は顔を赤らめる。
「あんなことをしてしまったけど、好きという感情は残っているの。もう一度だけでいいので、やり直すチャンスをください」
浮気をされた方は許せないけど、浮気をしたほうは恋愛対象とみなせる。温度差は非常に激しい。
非常識、ありえない、常識のかけらもない告白を、最短文字数で一刀両断した。
「ムリ・・・・・・」
若葉はすぐに引き下がらなかった。
「一度目はダメだとしても、二度目はうまくいくかも・・・・・・」
やり直しできるのは、過去にうまくいっていたときのみ。最悪の結末を迎えたときは、永久的にやり直す機会はない。
「元カレに人間の魅力がないといっただけでなく、ストーカー扱いした女と、やり直したいと思えるわけないだろ。他の男を探せばいいんだ」
冬樹は信者さながらに、若葉に好意を持っている。可能性のある男を、薦めることにした。
「おまえを好きになった男とはどうなんだ。あいつと一緒になったら、大切に扱ってくれるぞ」
「あいつは不気味。交際対象からは真っ先に除外する」
指摘はもっともだけど、交際相手を選べる立場でないはず。好きになってくれた男と付き合わなければ、 生涯独身生活確定だ。
「おまえは浮気をして、ストーカー呼ばわりした女だ。おつきあいをしてくれる男がいるだけで、感謝しなければならない立場だ」
若葉は動揺しているのか、目は明らかに泳いでいた。
「そ、そうだよね・・・・・・」
若葉は一息ついたあと、ハートマークのついた手紙を見せてきた。
「あんたあてに、クラスメイトからラブレターをもらってきたの。暇があったときに、読んでみるといいんじゃない」
ラブレターは一通かと思ったら、三通もあった。自分に興味を持っている女は、こんなにもいるのか。
相手を間違えれば、若葉以上のクズとおつきあい。石橋を叩いて渡るくらいに、慎重に選んだほうがいい。
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