第28話 玉砕&大好きな人のパンツのにおいを嗅ぐ(若葉編)
二度目の告白するも、瞬殺でフラれた。一度目は簡単にOKした男とは、完全に別人の反応だった。
勝が誰かと交際をスタートすれば、彼女を自宅に連れてくるシチュエーションが想像される。イチャイチャしている場面を見れば、嫉妬で頭が狂うことになる。
部屋の鍵のロックを確認したあと、大好きな人のパンツを引き出しから取り出す。数日たっているとあって、異臭はレベルアップしている。お風呂に入ったときに、別のものと取り換えたほうがいい。一度も使っていない、新品を持ってくるのも選択肢に入れようか。
勝のパンツを頭にかぶっていると、扉をトントンされる音がする。下着をしまいこんだあと、応対をすることにした。
「若葉、夕食を食べよう」
「おかあさん、わかったよ」
ご飯はいまだに別々の状態。いつになったら、同じスペースで食べられるのか。
「階段の下から話を聞いていたんだけど、お付き合いしたいといったみたいだね」
「そ、そん・・・・・・」
おかあさんはボイスレコーダーで、さっきのやり取りを流した。
「こちらにやってきてすぐに高熱を出した挙句、裏切った男におつきあいをしたいと伝える。あんたはどれだけ迷惑をかければ済むの」
「そ、それは・・・・・・」
「余計なことばっかりしていると、本気で家を追い出されるわよ。新しい家を見つけられなかったら、路頭生活することになることを覚悟してね」
ホームレスと聞いて、背筋が凍り付くのを感じた。若い女の子が路頭で生活すれば、怪しい男に狙われる。
「あなたのおとうさんと相談して、部屋の交換を決めようと思っているの。あなたは一階だけで、過ごすようにしなさい。二階に上がるのは、完全禁止にするから」
大好きな人の隣で過ごす権利を失うのはイヤ。口の動きだけで、何度もいやいやいやと繰り返す。おかあさんは口の動きを読み取ったらしく、
「あんたはどうしようもない子だね。私の手には負えないよ」
と諦め口調でいった。勝の家族だけではなく、おかあさんにも捨てられる恐怖を感じながらの生活を強いられることとなった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます