第24話 クラスメイトに同居していることがバレた

 若葉の風邪は三日で治った。40度の発熱があったにしては、治りは早かったといえる。病原菌も○○はお断りらしい。


 病気が治ったからには、一言も口を利くつもりはなかった。あいつを空気同然とみなして、生活を送っていけばいい。


 看病の疲れからか、大きな欠伸をする。


「勝、疲れているみたいだな」


「ああ、いろいろとあったからな」


 秋村秋人は話題を変える。


「勝、若葉と一緒に生活しているのか。いろいろなところから、そのような証言を得ているぞ」


 隠し通したとしても、いつかはばれる。ことのいきさつを、クラスメイトに伝える。


「父の再婚相手が、若葉の母だったんだ。そのこともあって、ちょっと前から、同じところで生活している」


 秋村秋人は苦笑いをする。


「浮気された挙句、ストーカー呼ばわりされた女と、一つ屋根の下で生活する。想像するだけで、身の毛のよだつシチュエーションだな。俺だったら、○していてもおかしくないレベル」


 秋人がこんな過激な言葉を使う。若葉のやったことを、苦々しく思っているのは確実だ。 


「ああ。ストレス爆上がりだよ。あいつが住んでいる限りは、家族としてやっていく必要がある」


 家族となったあいつは、交際していたときよりもさらにわがまま。病気が治ったあとは、どんな無理難題を押し付けてくるのだろうか。


「勝は他の女と恋愛するつもりはないのか?」


「いまのところは、まったくないけど・・・・・・」


 新しく交際しても。若葉以上のクズもありうる。あれ以上のろくでなしと交際したら、完全なる人間不信に陥る。


「勝は知らないかもしれないけど、いろいろな女から人気あるみたいだぞ。アタックをかけたら、新しい女をゲットできるかもじれないぞ」


「ポケモンみたいにいうなよ」


「ポケモンゲットみたいに、彼女をいろいろと作れるか。男にとって、ロマンあふれる人生だ。俺はどんなにゲットしようとしても、一匹もつれそうにないから」


「秋人もいつかは彼女できる・・・・・・」


「無駄な慰めはよしてくれ。傷口に塩を塗るだけだ」


 他人には根拠のない話をするのに、自分は同じことをされると嫌がる。人間の本質を露骨にあらわしている。


 二人で話しているところに、冬樹がやってきた。


「同じ家で生活しているのを、どうして黙っていたんだ」


「教える必要性を感じなかったから・・・・・・」


「若葉と会いたいから、遊びに行っていいか?」

 

「・・・・・・・」


 返答に窮していると、若葉がこちらにやってきた。


「好きでもない男と、一緒に過ごすなんて嫌なんですけど。あんたはそんなこともわからないのかしら」


「じ、女王様、もっともっと罵ってください」


 冬樹はドMなのか、それともただの変態趣味なのか。皆目見当もつかなかった。


「あんた、きしょすぎるわよ」


「もっといってください。もっと、もっと・・・・・・」


 筋金入りの変態に、若葉もたじたじになっていた。他人に強気に出る女は、こういうタイプには弱いのかなと思った。 

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