第23話 二日目の病人生活はつらい(若葉編)

 40度の高熱を出してから、お風呂に入れずじまい。大量の汗を吸った体は、異様なまでにベタベタとしていた。


 汗を洗い流すためには、シャワーが一番効率的。裸にたっぷりのお湯をかければ、不快なものを取り除けるはず。


 ベッドから起き上がろうとするも、39℃の高熱は許してくれなかった。若葉の体を、見えない何かで縛りつけている。


 アイスクリーム、ヨーグルトを食べ過ぎたからか、おなかはゆるゆるとなっていた。素早くトイレに行かなければ、汚いものをなすりつけることになる。


「おかあさん、体を起こしてほしい」


「あんたはいくつになっても、自由奔放なままだね」


「布団におもらししたら、おかあさんのせいだからね」


「わかったわよ。体を起こしてあげる」


 おかあさんに手を引っ張られたことで、体を起き上がらせることができた。


「トイレに行ってくるわ」


 シャワーをついでにと考えていると、おかあさんにくぎを刺された。


「シャワーは厳禁だからね。いいつけを守れないと。家を追い出されるかもしれないわね」


 よその家の生活は、ワンランク、ツーランクも不便。自分の家族名義に変更して、権利を享受したいところ。


 理想を叶えるためには、勝の父の死が必要。あいつさえ消えれば、名義をぶんどれる。呪いをかけて、あの世に送りつけてやりたい。


「私が今日は看病するから、勝さんには近づかないようにしてね」


 シャワーを浴びれないだけでなく、勝に接近するのもNGか。メンタルにかかるストレスで、高熱は長引く予感がする。


 部屋の扉を開けた数秒後、勝と視線が合った。声をかけたい衝動に駆られるも、今回ばかりは我慢することにした。

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