第15章 若葉の母とやり取り
自室で数学Bの宿題の取り組むも、集中できていなかった。40度の病人を隣の部屋に居座らせた状態では、100パーセントの集中力を維持するのは厳しい。
中学時代は二股をかけ、高校になったら40度の高熱を出す。若葉は迷惑をかけるために、この世に誕生したみたいだ。こちらに被害をもたらす目的で、地球に生まれたといったほうがしっくりとくる。
難問を解いていると、一通のラインを受け取る。宛先は若葉の母親からだった。もしものことがあったときのために、連絡交換をしておくことにした。
「若葉の面倒を見ていただき、ありがとうございます。母親として深く感謝しています。あの子の容態について教えていただけますか?」
母のしっかりとした部分を、ちょっとでも引き継いでいれば。心の声は永久的に届くことはなさそうだ。
若葉とはライン交換はしていない。大嫌いな女のアドレスを見るだけで、スマホを地面に投げつける。修理代で破産するのは避けたい。
「若葉は雑炊、ヨーグルトを食べ、ポカリスエットを飲んでいました。食欲については、問題ないと思われます。頭を冷たいタオルで、冷やしている最中です」
人間が死ぬときは、完全に食欲を失った状態。母の死に立ち会ったとき、そのことをわからされた。
「今日は都合をつけられそうにありません。顔を見たくないほど嫌いかもしれないけど、娘のために力を尽くしていただけると幸いです。謝礼につきましては、後日に払わせていただきます」
ラインを読んだあと、数学Bの勉強を再開。浮気女のことをなるべく忘れ、勉強に必死に取り組む。
数学Bの宿題を片付けると同時に、腹の虫が大きくなった。戸棚にひそませてある、カップラーメンを食べようと思った。
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